再び大型買収のNEC、「受け身の姿勢では先はない」
デンマーク社を子会社化、強いNECを取り戻せるか
NECは27日、デンマークのIT最大手のKMDを買収すると発表した。80億デンマーククローネ(約1360億円)を投じ、2019年2月末にKMDを傘下に持つKMDホールディングを完全子会社とする予定。M&A(合併・買収)は中期経営計画に掲げる成長戦略の目玉。今回は1月に買収した英ノースゲート・パブリック・サービス(NPS)に続く第2弾となり、買収規模はNPSのほぼ倍となる。
KMDは17年12月期の連結売上高が958億4800万円。訴訟案件への引き当てなどにより、営業赤字ながらも構造改革はほぼ一巡。「19年度には黒字転換を見込む」(山品正勝NEC執行役員常務)。従業員は約3000人。
新野隆社長(写真)は同日都内で会見し「KMDはデンマークのデジタルガバメントを中心にリカーリング(継続的に収益を生み出すモデル)型ビジネスで実績を持つ。NPSとの相乗効果も期待できる」と、M&Aによる成長戦略への手応えを強調した。
創業119年目の大改革―。NECの新野隆社長は10日、経営改革の進捗(しんちょく)について会見し「最も重要なのは実行力の改革だ。企業文化を抜本的に改革し、強いNECを取り戻す」と語り、白紙に戻して作り直した3カ年の中期経営計画の達成に向けた覚悟を表明した。2020年度までの中計は「119年目の大改革」との位置付けを明確化し、「これまでの当たり前を捨て、必要なものをいかに強くするかに徹底的に取り組む」と改革への意欲を示した。
NECは、まずは成長軌道への回帰に向けた収益構造改革に力を注ぐ。社長自らが全国の拠点を回る対話会を実施しており、7月末までに計26回・約1万人と対話する予定。併せて「変革の推進役」として、現場のエース級の人材を約30人選び、新設の「カルチャー変革本部」を司令塔として、7月から変革プロジェクトを本格化する。
18年度は国内3000人の人員削減などの構造改革費用で400億円を計上するため、減収減益を見込むが、真水ベースでは反転攻勢を目指す。
人員削減は公表済みの間接部門とハードウエア部門を対象に、10月末から希望退職者を募り、再就職の支援などにより、年内には完了する予定。
収益構造の改革はワンマネージメントで選択と集中に挑む海外事業に加え、収益の源泉となる国内事業の改革でもアクセルを踏む。
海外は生体認証を核とするセーファーシティー事業で成長戦略を描く一方、赤字に陥っている超小型マイクロ波無線通信システム「パソリンク」事業は18年内に黒字化のめどを付ける。
国内では通信事業者向けテレコムキャリア事業の改革が目玉。4月に部門(BU)の名称を「ネットワークサービス」に改称し、事業領域を企業や官公庁へと拡大しており、IoT(モノのインターネット)や第5世代通信(5G)などを起点に新規市場を開拓する。
このほか、国内では生体認証や画像解析の強みを生かして、20年東京五輪・パラリンピックに向けたインフラ整備にも取り組む。さらに食品ロスや廃棄物の解決に向けて、人工知能(AI)を活用した需給最適化プラットフォームを立ち上げる。成長が見込める車載分野ではデンソーや住友電気工業などとの協業を強化する。新野社長は五輪関連などで「国内事業の伸びも期待できる」という。
新野社長は中計に関して「受け身の姿勢では先はない。我々自身が新しい市場を作っていかないといけない。ビジネスモデルを変革し、新しいNECに変わっていく。『今やらないと、いけない』という危機感があった」と経営トップとしての思いを強調した。
(文=斉藤実)
KMDは17年12月期の連結売上高が958億4800万円。訴訟案件への引き当てなどにより、営業赤字ながらも構造改革はほぼ一巡。「19年度には黒字転換を見込む」(山品正勝NEC執行役員常務)。従業員は約3000人。
新野隆社長(写真)は同日都内で会見し「KMDはデンマークのデジタルガバメントを中心にリカーリング(継続的に収益を生み出すモデル)型ビジネスで実績を持つ。NPSとの相乗効果も期待できる」と、M&Aによる成長戦略への手応えを強調した。
日刊工業新聞2018年12月28日
119年目の大改革
創業119年目の大改革―。NECの新野隆社長は10日、経営改革の進捗(しんちょく)について会見し「最も重要なのは実行力の改革だ。企業文化を抜本的に改革し、強いNECを取り戻す」と語り、白紙に戻して作り直した3カ年の中期経営計画の達成に向けた覚悟を表明した。2020年度までの中計は「119年目の大改革」との位置付けを明確化し、「これまでの当たり前を捨て、必要なものをいかに強くするかに徹底的に取り組む」と改革への意欲を示した。
NECは、まずは成長軌道への回帰に向けた収益構造改革に力を注ぐ。社長自らが全国の拠点を回る対話会を実施しており、7月末までに計26回・約1万人と対話する予定。併せて「変革の推進役」として、現場のエース級の人材を約30人選び、新設の「カルチャー変革本部」を司令塔として、7月から変革プロジェクトを本格化する。
18年度は国内3000人の人員削減などの構造改革費用で400億円を計上するため、減収減益を見込むが、真水ベースでは反転攻勢を目指す。
人員削減は公表済みの間接部門とハードウエア部門を対象に、10月末から希望退職者を募り、再就職の支援などにより、年内には完了する予定。
収益構造の改革はワンマネージメントで選択と集中に挑む海外事業に加え、収益の源泉となる国内事業の改革でもアクセルを踏む。
海外は生体認証を核とするセーファーシティー事業で成長戦略を描く一方、赤字に陥っている超小型マイクロ波無線通信システム「パソリンク」事業は18年内に黒字化のめどを付ける。
国内では通信事業者向けテレコムキャリア事業の改革が目玉。4月に部門(BU)の名称を「ネットワークサービス」に改称し、事業領域を企業や官公庁へと拡大しており、IoT(モノのインターネット)や第5世代通信(5G)などを起点に新規市場を開拓する。
このほか、国内では生体認証や画像解析の強みを生かして、20年東京五輪・パラリンピックに向けたインフラ整備にも取り組む。さらに食品ロスや廃棄物の解決に向けて、人工知能(AI)を活用した需給最適化プラットフォームを立ち上げる。成長が見込める車載分野ではデンソーや住友電気工業などとの協業を強化する。新野社長は五輪関連などで「国内事業の伸びも期待できる」という。
新野社長は中計に関して「受け身の姿勢では先はない。我々自身が新しい市場を作っていかないといけない。ビジネスモデルを変革し、新しいNECに変わっていく。『今やらないと、いけない』という危機感があった」と経営トップとしての思いを強調した。
(文=斉藤実)
日刊工業新聞2018年7月11日