“特別背任"容疑に変わり、ルノーは日産に歩み寄る姿勢をみせるか

日産主導で事態が動きだす展開を期待

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が、会社法違反(特別背任)で東京地検特捜部に再逮捕され、“ゴーン・ショック”は新たな局面を迎えた。先の逮捕容疑である役員報酬の虚偽記載に対し、特別背任はゴーン容疑者個人の不正が際立つ。足元では三菱自動車を含む3社連合の支配関係をめぐり日産と仏ルノーの間で綱引きが続く。日産は、「ゴーン支持」の色を見せていたルノーが譲歩し、日産主導で事態が動きだす展開を期待する。

 東京地裁は23日、ゴーン容疑者の10日間の勾留を認めた。ゴーン容疑者は、代表取締役兼最高経営責任者(CEO)だった2008年10月に、私的な投資で発生した評価損約18億5000万円を自分の資産管理会社から日産に付け替えた疑い。

 また付け替えた損失を資産管理会社に戻す際、信用保証に協力したサウジアラビアの知人が経営する会社に、日産子会社から計1470万ドル(現在のレートで約16億円)を振り込ませ日産に損害を与えた疑いで21日に再逮捕された。

 役員報酬の虚偽記載容疑での逮捕と今回では、意味合いが大きく異なる。虚偽記載では、不正を見抜けなかった日産も法人として起訴された。一方、特別背任はゴーン容疑者が加害者、日産は被害者という構図。西川広人日産社長兼CEOは「(ゴーン容疑者の不正問題は)次の段階に入ったのかなと思う」と話した。

 日産はゴーン容疑者の不正を契機に、ルノー支配の今の資本関係見直しに連なるコーポレートガバナンス(企業統治)改革を進めたい意向。これに対しルノーはゴーン容疑者を会長兼CEOに留任させた状態で、日産のゴーン容疑者の後任会長人事に関与する意向を示すなどけん制する。

 特別背任での逮捕でゴーン容疑者個人の犯罪という色合いが濃くなり、ルノーが日産に歩み寄る姿勢をみせるかが焦点となる。「人によって異なる解釈もあり得るこれまでの容疑とレベルが違う。個人の犯罪として分かりやすい。ルノー側にもかなりインパクトがあるのではないか」と関係者は指摘する。さらにゴーン容疑者の勾留が続けば、ルノーが解任に動く確率は上がる。

 仏紙の報道によるとルノーに近い関係者が「ルノーは日産との資本構成を含め、バランス調整を行うことになる」と述べたという。変化の兆しは出てきた。
(文=後藤信之)

日刊工業新聞2018年12月24日

  

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