AI使ったテレビ通販番組って、どんなもの?

予測モデル構築


 キューサイ(福岡市中央区、神戸聡社長、092・724・0831)が、NTTデータグループと共同で、人工知能(AI)を活用したテレビ通販番組の制作を進めている。番組素材の分析による予測モデルの構築で消費者の購買意欲向上を促し、電話での問い合わせ件数の増加につなげている。

 AI予測モデル「nAomI(ナオミ)」は、2012年から18年までに放送した番組の映像や音声などの情報と消費者の反応との相関性を、機械学習技術によってモデル化したもの。そこから進行順序や構成が異なる数千パターンの番組案を読み込み、最も問い合わせが見込めるものを実際の番組に活用する。

 7月に、ヘルスケア商品を紹介する約30分の番組を対象に、従来の手法で製作した2パターンの番組とナオミを活用した番組で比較した。全国のローカルテレビ局で放映して検証したところ、ナオミを活用して製作した番組の問い合わせ件数が、従来の手法で製作した番組より27・6%多かった。

仮説立てて検証


 問い合わせ件数が増加した要因について、西沢健通販営業部長は「放送前に、AIで仮説を立てて検証や分析ができる点が大きい」と語る。予測モデルの構築で、番組づくりの基準が放送後から放送前へと変化した。

 キューサイは02年からテレビ通販番組の放映を始め、主に約30分構成の番組を中心に展開してきた。従来、過去に放映した内容を元に仮説を立てながら新しい番組を制作していた。だが、見込みに対して「想定通りとならず、放送してみないと結果がわからない」(西沢部長)状況だった。

 放映前にモニター調査を実施し、番組に反映させていたが、「本音の部分をなかなか聞き出しづらい」(同)ことも、問い合わせの予測を難しくしていた。

深層心理の把握


 16年から進めたナオミの構築では、NTTデータグループが進める脳活動パターン解読の研究ノウハウが基盤となっている。特に「イメージを伝えることが重要」(同)となるテレビ通販番組で、消費者が電話をかける行動を起こすまでには、目に見えないハードルが立ちはだかる。

 ナオミは、番組を視聴した消費者の共感度や無意識の反応など、モニター調査では読み取れない深層心理の把握で効果を発揮した。

 今後は短い放送時間での応用や顧客ターゲットが異なるスキンケア商品など他の製品での番組製作における活用などを通じ、さらなる消費者との接点構築の強化につなげていく。

 一方、活用が広がることで、制作会社との打ち合わせや意見集約などで長い時間を要し、業務負担が大きい番組づくりの在り方が変わるきっかけとしても期待を寄せる。(西部・高田圭介)

日刊工業新聞2018年12月21日

  

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