織物産地の衰退に歯止めを!奮闘する女性デザイナー

小島日和さん、新スタイルの展示会で新規顧客の獲得チャンスを拡大

 全国一の毛織物産地である愛知県尾州地域のテキスタイルデザイナー、小島日和(ひより)さん(26)の産地復興に向けた活動が広がりを見せている。他産地の若手デザイナーも巻き込み、新しいタイプのテキスタイル展示会を都内で主催しているほか、尾州では若手職人が織機の扱い方を学ぶ勉強会の企画責任者も務める。衰退する全国の織物産地。一人の若き女性デザイナーの活動が活性化の糸口となるか、注目度が高まっている。

 「産地を自立化させたい」。小島さんは自身が主催する展示会「NINOW(ニ・ナウ)」に込めた思いを、こう語る。従来型のテキスタイル展示会は、アパレルや商社が自分たちの求めるデザインを具現化してくれる機屋(はたや)を探す場という色合いが強い。ニ・ナウはそれと一線を画す。テキスタイルデザイナーが考案した生地を評価し、それをベースにした仕事を発注してくれる取引先を求める場だ。

 個人事業主として自主ブランドのテキスタイル「terihaeru(テリハエル)」を展開する小島さんの思いに、兵庫県西脇市や群馬県桐生市、山梨県西桂町といった各織物産地で活動する若手デザイナーも賛同。ニ・ナウは毎回5、6人のデザイナーが参加し、2017年10月から、この10月までに3回開催した。

 小島さんはこうした「デザインを主軸にした展示会は珍しい」と誇る。2日間の日程で来場者は各300人程度という小規模なものだが、アパレルや商社だけでなく靴、インテリアなど普段接する機会のない業界も訪れた。「新規顧客を得たデザイナーもいる」(小島さん)と成果は上々だ。

 一方、尾州内では低速織機の「ションヘル織機」の扱い方を継承しようと、一宮地場産業ファッションデザインセンター(愛知県一宮市)が勉強会「ションヘル織機研究部」を6月に開始。小島さんはその受講者でありつつ、勉強会の企画責任者も担っている。

 ションヘルは尾州ではいまだに多くの台数が稼働するが全国的には希少。尾州織物の特徴の一つとなっており「担い手が減り、ションヘル織機が廃棄されるのはもったいない」(同)と、次世代の職人を育てるのが目的だ。木玉毛織(一宮市)の空いた工場スペースを活用し、3台のションヘル織機を導入。現在20―30代の6人が参加し、機屋の熟練職人が講師となり、2週間に1回のペースで開いている。

 尾州など各地の織物産地は、安価な海外品の増加や後継者不足などを背景に厳しい状況にある。働き手の高齢化も深刻化する中、小島さんら若手が産地の明るい未来を織りなすことができるか。挑戦は始まったばかりだ。
(文=名古屋・岩崎左恵)

日刊工業新聞2018年12月18日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。