ゴーン・ショック1カ月、取引先「良い方向に進むかもしれない」の声も

日仏の企業文化の違いに苦労

 日産自動車の前会長のカルロス・ゴーン容疑者の逮捕をめぐる影響について、日産と関係があるサプライヤーから調達などの戦略の変化を期待する声が出てきた。ゴーン容疑者逮捕を契機にした“ゴーン・ショック”が起こってからもうすぐ1カ月となるが、日産・三菱自動車・仏ルノーの3社連合での資本関係をめぐる綱引きなどが続いている。こうした動きが今後の事業方針にどう影響するのか。サプライヤーの関心が集まる。

 ゴーン容疑者の逮捕からこれまで、3社連合の各社は対応に追われた。日産と三菱自はゴーン容疑者を会長から解任したが、3社連合は電話会談などで提携維持を確認した。ただ、日産がルノーに「対等な関係」を求める立場を示すなど、各社の駆け引きは続く。

 日産やルノーが手探りで体制の再構築を進める中、大手サプライヤー首脳はゴーン容疑者の退場による影響を「日本のサプライヤーにとって良い方向に進むかもしれない」と捉える。

 同首脳によると、ゴーン容疑者によるリバイバルプランなどの調達方針は、日本のサプライヤーにとって大きな負担だった。ただ、これから3社連合の関係性が変化したとしても、「すぐに事業に影響することはないだろう」とも見ている。

 3社連合の変化を期待する声もある。グローバルで事業展開する日系サプライヤーの幹部は「ルノーに直接提案していたが、あまりうまくいかなかった」と明かす。日仏の企業文化の違いを感じたという。今回の騒動を契機に「日産を通して(各社へ)提案しやすくなれば」としている。

 従来の姿勢を崩さない、というサプライヤーも多い。「現時点での影響は全くない。変化があれば対応する」。日産との取引が多いサプライヤー首脳はこう言い切る。日産の経営の混乱が、開発などの遅れに影響する可能性も指摘されている。だが、同首脳は「3社連合は継続してやっていくと言っているし、日産自動車を信じている」という。

 日産、ルノー、三菱自の経営や関係性については不透明な状況が続きそうだ。業界全体が動揺する中でも、サプライヤー各社は期待を見せつつ、まずは状況を見極めてから対応するという冷静さを見せている。

(文=山岸渉、下氏香菜子)

日刊工業新聞2018年12月13日掲載

梶原 洵子

梶原 洵子
12月15日
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日産のケイレツ解体以降、他のケイレツも必ずしも系列企業最優先ではなくなった印象があります。実際に旧日産系の部品メーカーがホンダとの取引を増やしました。その逆もあります。ゴーン・ショックに関わらず、完成車メーカーと部品メーカーとの関係はドライかつ実力重視という自動車業界全体の流れは変わらないと思います。ケイレツの結び付きを強みに変える取り組みをすれば、また違いますが。

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