日産経営陣の責任は?ルノーが弱みを突く

「立て直しは親会社の責任」とのロジックで

 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者が役員報酬を過少記載したとして逮捕された事件で、日産も法人として東京地検特捜部に金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴された。ゴーン容疑者の不正を許した企業としての責任も重いと特捜部は判断したもようで、ゴーン容疑者以外の経営陣らの責任が問われる。また、あらためてコーポレートガバナンス(企業統治)不全が明らかになった格好で、筆頭株主の仏ルノーが日産への経営関与を強める契機になる可能性はある。

 金融商品取引法には法人の役員や従業員が業務に関連して違法行為を行った際、法人も併せて処罰する「両罰規定」がある。

 今回の日産の場合、長期にわたりゴーン容疑者の不正を止められず、虚偽の情報を投資家らに示しており、特捜部は法人としての責任を問う必要があると判断したとみられる。会計監査学が専門の八田進二青山学院大学名誉教授は「長年、ゴーン容疑者とともに経営に当たってきた西川広人氏ら現在の取締役の責任は重い。退陣という選択肢も検討すべきだ」と指摘する。

 日産は7日、完成車の出荷前の検査で、ブレーキやステアリングなどで新たに不正が見つかったと発表した。それに伴い、11車種約15万台のリコール(回収・修理)を実施する。「検査時の禁止事項がうまく伝わりきれていなかった」(本田聖二常務執行役員)という。2017年9月に無資格者の検査が明らかになって以降、再発防止を進めているものの、歯止めをかけきれていない。

 日産は経営管理組織から製造現場まで幅広い領域で、ガバナンス不全が課題となっている。現在、ガバナンス改善のための委員会を設置する検討を進めている。取締役会への高い監督機能などを特徴とする「指名委員会等設置会社」への移行を検討する。日産主導で自ら立て直しを図る意向だ。ただ、ある証券アナリストは「ルノーが日産のガバナンス不全という弱みを突き、『立て直しは親会社の責任』とのロジックで、日産への関与を強めようと動くのではないか」と分析する。

 日産はルノーに支配されている資本関係を見直し、三菱自動車を含む3社連合の関係を再構築したい意向。ガバナンス改善の取り組みを通じ、日産・ルノーのパワーバランスに変化が生じれば、関係見直し議論にも影響してくる。

日刊工業新聞2018年12月11日

  

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