“ゴーン・ショック”で素材業界に広がる不安、EV電池が危ない!

合従連衡に冷水。仕様の標準化、遅れる可能性も

 素材業界は日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者逮捕により、電気自動車(EV)メーカーの合従連衡が停滞することを危惧する。EVで先頭を走る日産などの3社連合の混乱は、3社によるEV化の推進力が弱まるばかりか、他社の合従連衡の機運を低下させかねないと警戒する。素材各社はEV化が本格化する2020年以降、自動車業界の離合集散が起き、電池仕様の標準化によるコストダウン効果を期待する。それだけに3社連合の混乱が心配だ。

 現在、日米欧や中国勢がEV開発を急ぐものの、電池仕様がそれぞれ異なり、仕様に応じた部材を個別に手がける素材各社は悲鳴を上げている。サプライチェーンを最適化するには電池の共通化・標準化が不可欠で、素材各社は自動車業界の合従連衡を期待する。「EV化の嵐が来た時、合理化・コストダウンの目標を達成するには水平・垂直協業の仕組みが不可欠だ」と素材大手幹部は断言する。

 EV市場は比亜迪(BYD)中心の中国勢と米テスラに続いて、独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車などの既存勢力が本格参入する三つどもえの構造。化学大手幹部は「20年後半から21年にかけてEV市場が見えてくる。各社出そろった上で、どのEVが売れるかが分かるはずだ」と先を見通す。

 優勝劣敗が固まる21年以降に、自動車メーカーの離合集散が再び起こりうる。EVの高コストの“元凶”とされるリチウムイオン二次電池のコストダウンに必要な電池の共通化・標準化の議論も合従連衡を後押ししそうだ。

 ただ、日産・仏ルノー・三菱自動車の3社連合は協業で一日の長があるが、今回の騒動でその優位性が消失する可能性があるほか、他社の合従連衡の機運に水を差すのではと素材各社は懸念する。

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日刊工業新聞2018年12月4日

  

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