米ラスベガス市がAIで治安改善、複数企業からNTTが選ばれたワケは?

2019年1月に商用化

NTTは、ビッグデータ(大量データ)を人工知能(AI)で分析して都市の治安を良くするサービスを2019年1月に米国のラスベガス市で商用化する。米ネバダ州ともスマートシティー(次世代環境都市)の構築で覚書(MoU)を結んだ。この動きを全米各都市に広げ、海外事業の強化につなげる。

データ所有せず


 「(サービスで集めた)データをNTTの所有にしない。ラスベガス市がデータを使って新しい価値を作ることを我々が支援する」―。NTTの澤田純社長は30日まで都内で開催中の自社イベントで、NTTとデルテクノロジーズのスマートシティーソリューションをラスベガス市が採用した理由について、こう説明した。

 NTTとデルテクノロジーズは9月からラスベガス市のダウンタウンの3カ所に監視カメラや音響センサーを計30台配置。クラウドからネットワーク、顧客のIT資産までを一元的に運用できるNTTの技術「コグニティブ・ファウンデーション」を用い、群衆の動きや量、交通状況、事件性の高い音声などをデータセンターに集めてAIで分析し、事態の深刻度や事件性の有無を予測する実証実験を行っていた。

市が“主役”


 ラスベガス市には複数の企業からスマートシティー化の提案があったが、「他社の提案は自分たちがデータを保有するもので“主役”がラスベガス市ではなかった」(澤田社長)。スマートシティーの根幹をなすビッグデータの所有権はラスベガス市とする“差別化”で「最も関心を持ってもらえた」(同)という。

 IoT(モノのインターネット)の普及で生活や社会サービスに占めるデジタルデータの重要性がますます高まる。その際にポイントとなるのが、データの所有権だ。澤田社長は「鵜浦博夫前社長時代から、例えば日本では地方自治体が所有権を持つべきだという考えを持っていた。これを世界規模でも展開していく」と話す。

 日本では札幌市、福岡市、横浜市などと産学官連携でスマートシティー化への取り組みを実施している。19年春にはNTT都市開発とNTTファシリティーズを傘下に持つ街づくり事業推進会社を設立する。

 NTT都市開発が持つ街づくりノウハウとNTTファシリティーズのエネルギーソリューション、全国に7300局ある電話局などの不動産や情報通信技術を生かしたNTTグループならではの街づくりを進める体制が整う。

 かつて、日本電信電話公社(現NTT)が民営化された1985年、音声電話収入がNTT全体の83%を占めていたが、17年は18%に減った。澤田社長は「自らのデジタル変革を推進して顧客に選ばれ続けるバリューパートナーになる。結果、ポートフォリオ(事業構成)はかなり変わると思う」と話す。その目玉が、自治体のスマートシティー化や企業のデジタル変革を支えるITシステムの提供となる。

日刊工業新聞社2018年11月30日

  

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