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NTTグループの縁の下の力持ち「変革の芽、大きく育てる」

NTTコムウェア・栗島聡社長インタビュー
NTTグループの縁の下の力持ち「変革の芽、大きく育てる」

NTTコムウェア公式ページより

 NTTコムウェアは創立20周年の2017年度に10年後を見据えた長期ビジョンを策定し、従来のシステム構築(SI)からサービス提供企業への変革を打ち出した。主要顧客であるNTTグループが設備投資の効率化でSIへの投資を抑える中、顧客企業のビジネスを情報通信技術(ICT)で支えるサービス開発はどの程度進んでいるのか。就任2年目を迎えた栗島聡社長に聞いた。

 ―18年度をどのような年にしますか。
 「変革に向けて出てきた芽を大きく育てる年にする。17年度は売上高の約8割を占めるNTTグループのSI投資抑制や16年度の大規模案件の反動減で減収だったが、画像認識人工知能(AI)『ディープテクター』、アプリケーション(応用ソフト)開発環境をクラウドで提供する『デヴァース2・0』の提供など、顧客企業のビジネスを支援する良質なサービスの芽が出てきた」

 ―具体的には。
 「ディープテクターでは、日本ヒューレット・パッカードと連携し、AIを活用して製品の外観検査ができる産業用パッケージを発売した。飛行ロボット(ドローン)が撮影した対象物の画像をディープテクターが分析して故障箇所を特定するサービスなども提供したい。こうした働き方改革につながる取り組みに加え、スマートホーム、スポーツ・観光、金融データ分析の計4分野でAIを活用したサービスを提供する」

 ―NTTの澤田純社長は国内事業のデジタル変革を打ち出しました。
 「(NTTグループのSIを担ってきた)当社にとって非常に重要な任務となる。ITシステムや運用・保守の高度化に加え、企業間取引を通じてユーザーに新サービスを提供するNTTグループのビジネスモデル『BツーBツーX』を推進するプラットフォーム(基盤)やアプリ開発で貢献したい。24年に始める固定電話のIP網への移行でも本年度から開発のヤマ場を迎える。失敗しないようしっかり対応していく」

 ―澤田社長は海外事業の強化も打ち出しています。
 「当社が担ってきたNTTグループ内の財務・人事システム構築を海外のグループ会社向けにも広げたい。NTTコミュニケーションズの海外子会社のITサポート、NTTデータが持つテレコム系の顧客企業の業務サポートなどの実績を武器に当社のグローバル化をもう一段階ランクアップしなければいけない年だと考えている」
                        
日刊工業新聞2018年9月20日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
NTTが11月に発表する新中期経営計画では、重要課題の克服に向けNTTコムウェアが“縁の下の力持ち”になりそうだ。NTTグループ内のSI需要を取り込むほか、AIやRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)サービスを外部企業にどう売り込むか。その成果が22年度の売上高目標2000億円の達成につながる。 (日刊工業新聞・水嶋真人)

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