複数企業で顧客データ分析も、NTTの“秘密計算システム”とは

8月20日から無償で試用提供

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 NTTは8日、データを暗号化したまま統計分析ができる秘密計算システム「算師」を開発し、20日から無償で試用提供すると発表した。計算結果以外は誰にも見えないデータ運用が可能なため、他社への開示が難しかった顧客データなどを持ち寄って複数の企業をまたがる顧客データ分析が可能になる。製造業でも社外秘のデータを暗号化することで、ビッグデータ(大量データ)を用いた工場の生産効率化を外部企業に委託するといった用途も見込める。

 算師はデータを暗号化して複数の「シェア」と呼ばれる断片に分割し、3―4台のサーバーに分散保管する秘密計算方式を採用した。独自の高速化アルゴリズムと暗号実装技術により従来システムに比べ演算速度が約10倍速くなった。10億セル(1000万件×100属性)のデータの登録を約10分で処理するほか、データ1000万件の属性別の集計も約1分で行うことができる。

 すでに、札幌市の特定商圏にある5社の小売店の販売時点情報管理(POS)データを集計して訪日外国人の国別の購買状況を分析した。こうした特定の商圏にある複数の小売店の販売データを統合・分析すれば、販売機会の損失回避など商圏全体の活性化につなげられそうだ。

 ネット通販会社の購買データと健康支援アプリケーション(応用ソフト)の生体情報を組み合わせて健康関連商品のマーケティングにつなげる異業種データの連携も可能になる。

 デジタル変革の進展により複数の企業が持つデータを結合したビッグデータを活用すれば、より高度な分析が可能になる。
                    

日刊工業新聞2018年8月9日

COMMENT

今後は人工知能(AI)で算師の集計データを機械学習して最適な提案をするシステムの開発も検討。南アフリカのIT子会社ディメンション・データなどを通じて算師の海外展開も進めており、澤田純社長が掲げるグローバル事業強化の一翼を担うシステムになりそうだ。 (日刊工業新聞社・水嶋真人)

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