国立大施設の共同利用活動、最高“S”評価の大学は?

全体の14%の11拠点が獲得

 文部科学省は国立大学の付置研究所の「共同利用・共同研究拠点」制度で、2018年度の中間評価結果を公表した。大型施設や特徴ある設備を他大学の研究者らに活用してもらい、研究コミュニティーを活性化する活動を評価するもの。4段階評価のうち最も高い「S」評価は東北大学、東京大学、一橋大学、京都大学、大阪大学の11拠点で、77拠点中の14%となった。

 共同利用・共同研究拠点は国立大を中心とした付置研究所・センターが拠点となり、資産として持つ施設、設備、資料、データなどで他機関の活用を促すもの。今回は国立大の第3期中期目標期間(16―21年度)の中間で評価した。学外研究者の設備利用や拠点研究所との共同研究、共著論文などの広がりを重視した。改革推進のため相対評価でSが2割、Aが5割を目安とし、「理工学系Sで1400万円加算」など予算を再配分する。

 今回のS評価は、理工学系(大型設備利用型)では東大宇宙線研究所、同物性研究所、阪大核物理研究センターだった。理工学系(共同研究型)は東北大金属材料研究所、京大基礎物理学研究所、東北大多元物質科学研究所(ネットワーク型)。医学系は東大医科学研究所、阪大微生物病研究所で、生物学系は東大大気海洋研究所、京大霊長類研究所。人文・社会科学系は一橋大の経済研究所となった。

キーワード/共同利用・共同研究拠点


Q 拠点となる“付置研究所”がそもそもよくわからない。

A 国立大学の運営費交付金で教員人件費が手当てされている研究所だ。学内「部局長会議」のメンバーは、学部・大学院研究科と付置研究所のトップという重みだ。旧帝大時代からという伝統あるところも少なくなく、外部資金獲得などで立ち上げる一般的な研究所とは様子が違う。

Q 研究論文のレベルがすごそうだ。

A そうだね。大学院生の受け入れも手がけるけれど、主業務は教育ではなく研究だからね。もったいないから、日本の学術・基礎研究に貢献してもらうべく、“全国共同利用型の付置研”として拠点に認定している。公私立大にも広がりつつある。

Q 学外貢献なんて負担だ、と思う大学・付置研もあるのでは。

A 拠点認定を受けていないところはその認識かもしれない。が、国内外から優秀な研究者が集まれば、優れた共同研究ができ、学際融合で新たな学術領域が生み出される。外の専門家からの評判が上がれば大学ランキングにプラス、という見方もできる。

日刊工業新聞2018年11月15日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

ノーベル賞受賞成果を生み出したカミオカンデの東大宇宙線研究所、京大の霊長類研究所(山極寿一総長が助手時代に所属)、今回はA評価だったが東北大の電気通信研究所(大野英男総長の出身)と聞けば、付置研究所の伝統とステイタスが分かるのではないか。とはいえ、国立大改革の中でどのような位置付けにあるのかは、「付置研究所」という呼称と合わせて知られていない。恥ずかしながら私も詳しく知らなかった。今後の情報発信に乞うご期待。

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