国立大よ、もっと経営努力を!文科省が「交付金」に仕掛けた思惑

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全国の国立大学に一層の経営努力を迫る(東京大学の安田講堂)
 文部科学省は、国立大学に一層の経営努力を求める方針だ。2019年度予算概算要求において、国立大学運営費交付金約1兆1286億円のうち、約1300億円を評価に基づき配分する競争的な予算とする。交付金に占める評価による予算の割合は、18年度(当初予算)の約8%から約12%に高まる。大きく増加するのが「重点支援枠」で、18年度比約4倍の約400億円。全国の大学共通の評価指標を新たに導入し、配分を決める。基盤的経費である運営費交付金でさえ、規模に基づく単純な“平等配分”ではなくなりつつある。

 国立大学(86国立大と4大学共同利用機関法人)に対する運営費交付金は、基本的には大学の教員・学生数の規模で配分される。だが近年は、内数で支援に強弱を出す措置が増加。19年度予算概算要求では「挑戦する国立大学の支援」を掲げた。

 「重点支援枠」はこれまで、地域、特色、世界の三つの枠組みを基に、各大学自ら設定した教育研究活動と指標により評価していた。今回は「経営力強化で共通指標を立てた上での相対評価」(高等教育局・国立大学法人支援課)の導入に踏みきる。

 寄付金や共同研究費の獲得、業績評価など人事給与改革の状況が対象。運営費交付金に頼らず、自主財源比率を高める経営努力を求める。評価は三つの枠組み別にするか検討する。内閣府も国立大の外部資金獲得に注目した上乗せを要求、大学の努力の見返りが大きくなりそうだ。

 ゼロが続いていた老朽化した設備更新の約206億円も目を引く。消費増税に合わせた経済対策のチャンスだからだ。想定するのは遺伝子解析システム、低温環境をつくりだすヘリウム液化装置など。学内研究所の共同利用・共同研究での予算は18年度比約31億円増の約96億円。設備費・旅費を含む共同研究費で、新たに若手参加の計画を支援する。

日刊工業新聞2018年8月29日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

よく知られた「交付金年1%減」は長年の大問題で、「法人化時と比べて約1割が削減されて最近、下げ止まった」と認識されている。一方、交付金内での評価に基づく分の増加は一般にあまり知られていないが、概算要求分で1割超えとなる。この二つを合わせると「評価に値する活動を何もせず、従来通りの国立大の予算は、この15年ほどで予算2割減」といえる。会社員個人に置き換えて「過去と同じままなら給与は2割減」とされた、と想定するとその厳しさがよくわかる。

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