懸案だった卓越研究員制度の改善は3点で臨む。同制度は安定・自立的な雇用ポストを大学・研究機関や企業が提示し、任期付きの博士研究員(ポスドク)らの希望とマッチングするもの。これまで公募による両者の条件を提示するだけだった。来年度から研究環境や家族の生活など、きめ細かに調整する人材紹介のプロが間に入る。
また企業が提案する共同研究テーマを若手が大学で担当し、就職につなげるよう、研究費の半分を国が支援する取り組みも新設する。海外在住の若手を日本に呼び戻す別枠も設ける。19年度予算概算要求では、同制度で18年度当初予算比4割増の23億円を要求する。
若手海外派遣に国際派シニアのネットワークを生かす「国際競争力強化研究員事業」は新規で5億4000万円を要求。長期的に世界最先端とつながり続けることで、日本の存在感や国際共著論文の引用が高まると期待する。
科研費では、研究費支給を海外渡航中に中断するが、帰国後に再開できる仕組みを新設。帰国希望者が日本での受け入れ先決定前に科研費採択を確定する仕組みも充実させる。若手向け種目「基盤研究A」「同B」の採択率7%程度を10%に引き上げ、シニア向け種目より裾野を拡大する。さきがけは新規採択年150人を200人に引き上げる計画だ。

山本 佳世子
09月06日
研究力強化に若手研究者支援は欠かせない。今回のプランは「研究力向上」を銘打つが、内容は「若手研究者支援」一色だ。ただ、新規の事業もあるが、全体としては「いろいろな既存事業の使い勝手を少しずつ、よくした」という印象もある。若手問題は長年、議論されながら、解決策を導くことが至難の業となっていることが悩ましい。
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