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企業の垣根を越える“IoT工場”、大規模見本市で史上初の試み

JIMTOF2018、工作機械約300台の稼働状況が一目瞭然
企業の垣根を越える“IoT工場”、大規模見本市で史上初の試み

会場の稼働状況を「見える化」した展示。企画展示ブースでは学生の姿が多く見られた

 日本工作機械工業会(日工会)は開催中の「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」の会場で、「つなぐ」をキーワードにした企画展示を披露している。会場全体を大きな工場に見立て、72社、300台近くの出展機を共通のIoT(モノのインターネット)基盤でつなぎ、各機の稼働状況を企画展示のブースで“見える化”している。日工会によると、この規模でIoTを活用した工作機械の展示会は世界で初めてという。

 展示ではファナックの工場用IoT基盤「フィールドシステム」や、三菱電機が主導する「エッジクロス」などを通じ、基盤の枠を超えて“つなぐ”を実現した。

 会場で開かれたイベントで、飯村幸生日工会会長(東芝機械会長)は「つなげるは協調領域。競争領域ではない」とし、協調領域の整備が新しい競争領域の環境をつくるとの認識を示した。稲葉善治日工会副会長(ファナック会長)は「つなぐのは目的ではなく、すでにできている。つないで何をするのかが重要になる」とし、競争領域の重要性を指摘した。

 インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブの西岡靖之理事長(法政大学教授)は、つながるを実践した企画展示について「日工会の強力なリーダーシップで実現した」と述べた。
日刊工業新聞2018年11月5日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
繋がらなかった設備機器が繋がることは、業界的には画期的な事だが、稲葉さんがおっしゃるようにそれは手段であって目的ではない。その上で競争力あるアプリケーションや、従来の生産性と稼働率至上主義だけではないデータ・ドリブンなビジネスモデルへの展開も是非とも視野に入れて欲しいものだ。

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