IoT向け通信規格“LPWA”普及拡大のために緩和すべき規制

 総務省は、IoT(モノのインターネット)向けの通信規格「LPWA」の普及拡大に向け、規制緩和を急ぐ。LPWAの特性を踏まえ、電気通信事業法の重大事故報告基準を緩めた。通信事業者のLPWAを活用したサービス開発を後押しすることで、IoT市場の活性化と競争力強化につなげる狙いだ。2019年春の施行を見込んでいる。

 LPWAは、消費電力が少なく、低速ながら数十キロメートルをカバーする通信規格で、各社が実用化に向け実証実験を進めている。インターネットイニシアティブ(IIJ)は、水田の遠隔監視にLPWAを活用。センサーで収集した水温や水位データをLPWA通信などでクラウドへ伝送し、給水弁の遠隔制御を可能とした。

 LPWAは、農業のほかインフラ点検や見守りサービスなどあらゆる分野での活用が進む一方、法整備が追いついていないのが現状だ。

 LPWAを活用したサービスは、「3万人以上に2時間以上」または「100万人以上に1時間以上」影響を与えると、重大事故として30日内に総務省への報告が義務化される。しかし、LPWAによるサービスのほとんどが低頻度通信を前提としており、数時間のサービスの停止では大きなトラブルは起きない。また、センサーなど多数の端末を用いることが多いことから、個々の端末の通信が停止した場合でも利用者に大きな影響を与えるとは考えにくい。このため現行法だと「事故で影響をうける利用者の感覚と、制度上の取り扱いに差が生じる可能性があった」(総務省電気通信技術システム課)という。

 これに対応し、総務省はIIJやNTTドコモなどを構成員に加えた委員会を結成し、重大事故の報告基準の緩和に向け検討会を重ねた。そして「3万人以上に12時間以上」または「100万人以上に2時間以上」の影響を与えた場合まで、報告基準を緩めることを決めた。
(文=大城蕗子)

日刊工業新聞2018年9月25日

日刊工業新聞 記者

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09月29日
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ただ、将来的には高頻度の通信を前提としたサービスが普及する可能性もある。このため総務省は、今後の事故発生状況や利用者への影響のほか、サービス開発事例も踏まえた上で報告基準の見直しも検討する方針だ。
(日刊工業新聞社・大城蕗子)

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