京セラが開発した工場のIoT化を加速させる小型・薄型アンテナ

金属の近くでも電波強度を維持、2019年度に事業化

 京セラは金属や水分の近くに設置しても電波強度を維持できる小型・薄型アンテナの開発に成功した。自然界に存在しない性質を持つ人工磁気壁(AMC)にアンテナ機能を持たせる独自技術の組み合わせによって実現した。周波数が2・4ギガヘルツ帯でAMCを用いた一体型アンテナとしては業界で初めて。工場のIoT(モノのインターネット)化などを加速させるアンテナとして、システム開発と顧客開拓を急ぎ、2019年度の事業化を目指す。

 開発したアンテナ「Amcenna(アムセナ)」の標準サイズは縦7ミリ×横13・6ミリ×高さ1・9ミリメートル。三面鏡にヒントを得て、AMCの小さなユニットを仮想的に並んでいるように見せる独自構造により、京セラが過去に試作した8センチメートル角のAMCを用いたアンテナに比べ面積で60分の1以下にした。また、アンテナの放射パターンを分析し、AMC自体にアンテナ機能を持たせ、厚さを半分に薄型化した。

 アムセナは簡便に設置できることから、工場の生産設備に直接センサーを取り付けて異常を予知・検知するシステムでの採用に期待する。橋や道路といったインフラの老朽化対策や自動車のアンテナ部分の平たん化に加え、水分の近くでも電波強度が低下しないことから、人体に直接触れるイヤホンやスマートウオッチなどのウエアラブル機器の薄型化や小型化に貢献できるとみる。

 一般的なアンテナに比べ、同サイズで比較すると通信距離が長いことから、第5世代通信(5G)やミリ波レーダーを使った自動運転分野での活用も想定する。

 従来は金属や水分の近くでは電波強度が低下するため、そうした場所を避けたり、一定の距離を置いて設置する必要があった。

日刊工業新聞2018年10月12日

  

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