東証システム障害で浮き彫りになった課題、不具合は過去にも・・・

なぜトラブルの有無や復旧までの時間に差が生じたのか

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9日のシステムトラブルの会見終了後あらためておわびする横山常務執行役CIO(左から2人目)ら関係者
 東京証券取引所(東証)は10日、前日に発生したシステム障害を解消し、通常通りの取引に戻った。特定の証券会社が大量の誤送信データを送ったことで、東証と証券会社を結ぶサーバーの一部がダウンした。過去のシステム障害を教訓に、緊急時の対応策は整備していたが、証券会社との連携は十分になされていたのかなど、実効面で課題が浮き彫りになった。

電文量1000倍以上


 トラブルは東証の株式売買システム「アローヘッド」で9日朝に生じた。東証と証券会社を結ぶサーバーに数十秒間で通常の1000倍以上の量で電文が誤送信されてしまったことで、4系統あるサーバーのうち一つが使えなくなった。送り元はメリルリンチ日本証券とみられる。

 東証は正常に稼働する三つのサーバーへの使用を呼びかけたが、証券会社によっては切り替え作業がうまくいかないケースが起きた。これにより40社弱の証券会社が顧客からの注文を一時停止するなど、影響を受けた。

 東証によると、トラブル時の対策として証券会社に対し、四つの系統のうち二つ以上の系統を使って注文を流すようにしている。今回、取引が継続できた証券会社と、不具合が起きた証券会社が現れた。また、証券会社によってはトラブルの程度や復旧までの時間に差が見られた。

過去にも不具合


 こうしたトラブルの場合、各証券会社のシステム側の責任になるというのが東証の主張だ。ただ、9日会見した日本取引所グループ(JPX)の横山隆介最高情報責任者(CIO)は、「証券会社とのコミュニケーションが十分にできていたか、反省すべき点はある」と述べた。

 東証は過去にもシステム障害で苦い経験をしてきた。2005年11月の大規模システム障害、同年12月の誤発注騒動、06年1月のシステム容量の限界に伴った取引制限、12年2月の株価など相場情報を配信するシステムの不具合などだ。

 今回のトラブルによる市場への影響について、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「原因は明らかで対処が可能であるため投資家心理への影響は長引かないだろう」と見る。東証では、システムを共同開発する富士通とも連携し、再発防止に努める考え。取引所の生命線であるシステムの信頼性や安全性の確立が急がれる。
(文=浅海宏規)

日刊工業新聞2018年10月11日

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