証券で揺らいだ「みずほ」の信頼、銀行のシステム移行は大丈夫か
再発防止策待ったなし。グループで対応
みずほ証券で発生したシステムトラブルでは、インターネット上で株式の売買注文などを受け付ける「みずほ証券ネット倶楽部」のサービスを2日あまり停止する事態となった。折しも、みずほフィナンシャルグループ(FG)は、みずほ銀行の勘定系システムの移行作業を始めたばかり。今回のトラブルとは無関係だが、みずほのシステムに対する信頼が揺らいだのは確かだ。銀行のシステム移行はますます失敗の許されない情勢となった。
「主幹事の新規株式公開(IPO)案件を務めさせてもらう中で不具合を起こしてしまった。お客さまにとって重要となる上場日に起こしてしまい誠に申し訳ない」―。27日夜に記者会見をしたみずほ証券の金森裕三常務はこう謝罪した。
みずほ証券ネット倶楽部が26―27の両日にシステムを停止した間、主幹事銘柄である国際紙パルプ商事(26日)とアイ・ピー・エス(27日)の上場日と重なってしまった。
みずほ証券ネット倶楽部は約117万4000口座あり、1日当たりの利用は平均で約5万人。今回、システム間のネットワークの不具合が原因で、関連サーバーを更新した際、設定を誤ったことでトラブルが発生。電話や店頭で対応したが、投資家などからの苦情は数百件にのぼった。
最近では株式取引の多くがインターネットを通じて行われており、とりわけ若い投資家はそうした傾向が強い。中でもIPO株は上場後に価格が上昇することがあり、個人投資家からの注目も集まりやすい。こうした中、IPOの主幹事獲得件数でみずほ証券は18件(17年度)と2位につけており、業界内で存在感を高めていた。今回のトラブルが足元この勢いに影を落とす。
一方、みずほFGでは、預金や融資情報などを管理する勘定系システムの移行に着手したばかりだった。6月からデータを9回に分けて1年がかりで三つのシステムを次期システムに移行し、一元化する。「みずほはシステム障害で迷惑をかけてきた。これまでの反省を盛り込んで強いシステムを作り上げている」(安部大作みずほFG副社長)。過去に起こした大規模なシステム障害を教訓に万全の体制を敷いていた。
みずほFGの坂井辰史社長も6月下旬の株主総会で「安全着実な移行に万全を期すべく、引き続き気を引き締めて取り組む」考えを表明していた。証券のシステム障害は、1回目を滞りなく完了した直後に発生しただけに、残りのシステム移行を不安視する声も出ている。
(文=日刊工業新聞・浅海宏規、長塚崇寛)
「主幹事の新規株式公開(IPO)案件を務めさせてもらう中で不具合を起こしてしまった。お客さまにとって重要となる上場日に起こしてしまい誠に申し訳ない」―。27日夜に記者会見をしたみずほ証券の金森裕三常務はこう謝罪した。
みずほ証券ネット倶楽部が26―27の両日にシステムを停止した間、主幹事銘柄である国際紙パルプ商事(26日)とアイ・ピー・エス(27日)の上場日と重なってしまった。
みずほ証券ネット倶楽部は約117万4000口座あり、1日当たりの利用は平均で約5万人。今回、システム間のネットワークの不具合が原因で、関連サーバーを更新した際、設定を誤ったことでトラブルが発生。電話や店頭で対応したが、投資家などからの苦情は数百件にのぼった。
最近では株式取引の多くがインターネットを通じて行われており、とりわけ若い投資家はそうした傾向が強い。中でもIPO株は上場後に価格が上昇することがあり、個人投資家からの注目も集まりやすい。こうした中、IPOの主幹事獲得件数でみずほ証券は18件(17年度)と2位につけており、業界内で存在感を高めていた。今回のトラブルが足元この勢いに影を落とす。
一方、みずほFGでは、預金や融資情報などを管理する勘定系システムの移行に着手したばかりだった。6月からデータを9回に分けて1年がかりで三つのシステムを次期システムに移行し、一元化する。「みずほはシステム障害で迷惑をかけてきた。これまでの反省を盛り込んで強いシステムを作り上げている」(安部大作みずほFG副社長)。過去に起こした大規模なシステム障害を教訓に万全の体制を敷いていた。
みずほFGの坂井辰史社長も6月下旬の株主総会で「安全着実な移行に万全を期すべく、引き続き気を引き締めて取り組む」考えを表明していた。証券のシステム障害は、1回目を滞りなく完了した直後に発生しただけに、残りのシステム移行を不安視する声も出ている。
(文=日刊工業新聞・浅海宏規、長塚崇寛)
日刊工業新聞2018年7月3日