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5G用アンテナの熱問題解決へ「大きさ半分に」

NECが新技術
5G用アンテナの熱問題解決へ「大きさ半分に」

15センチメートル四方の4・6ギガヘルツ5Gアンテナ。32個のアンテナ素子が並ぶ(NEC提供)

 NECは第5世代通信(5G)アンテナを半分に小型化する放熱技術を開発した。高周波回路などから発生する熱をアンテナ面から逃がす。放熱用のヒートシンクを小さく設計でき、体積が約半分になった。冷却用ファンが不要で静か。空港やショッピングモールなど、屋内の人に近いところで利用する5Gアンテナに提案。2021年ごろの実用化を目指す。

 電波を放射するアンテナを放熱に利用する構造は世界初という。5Gに使われる4・6ギガヘルツ(ギガは10億)帯を放射する小型のアンテナ素子を基板上に垂直に立てて配置する。アンテナ素子は互い違いに並べて素子の間を空気が流れるよう設計する。

 さらに素子と素子の隙間に放熱フィンを配置した。一般にアンテナの近くに金属板を置くと電波をゆがめてしまう。そこで4・6ギガヘルツの電波を透過する特殊構造のパターンを刻み、電波放射に影響を与えずに放熱させることに成功した。

 アンテナ面と裏面のヒートシンクの両方から熱を逃がせる。高周波回路などの発熱と熱伝達をシミュレーションして、半分の大きさで90度C以下に保てることを確認した。放熱は自然空冷で十分で、冷却用のファンなどは不要。可動部がなくメンテナンスの頻度を大幅に減らせるという。

 屋内の壁際に5Gアンテナを設置する場合、壁側は熱がこもる課題があった。アンテナ側は空間が開かれているため冷却効率が高い。アンテナ素子や放熱板はプリント基板をベースに作成でき、量産に向く。詳細は25日からドイツで開かれる米電気電子学会(IEEE)5Gサミットで発表する。
日刊工業新聞 2018年9月20日
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
アンテナを放熱に利用できると初めて知り、驚きました。放熱技術は基板の裏側からいかに効率的に熱を逃がすかという工夫が多い印象がありました。アンテナ以外でも、基板の表側からの放熱を増やせる可能性はあるのでしょうか?

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