ホンダ開発者が語る、「CR―V」が新モデルで目指した“究極の普通”

本田技術研究所四輪R&Dセンター第9技術開発室室長主任研究員 永留高明氏

 「CR―V」というのは面白い車。米国で母親ユーザーが多いかと思えば、中国や東南アジアでは9割が男性ユーザーだ。つまり「誰でも」が重要ワード。5代目の新モデルは“尖(とが)ろう”とは考えず、皆が使いやすい「究極に普通に乗れる車」をテーマに開発した。グローバルモデルとして、2016年12月に米国を皮切りに各国で販売を始めた。

 日本モデルは大きな特徴が二つある。一つはハイブリッド車(HV)の設定だ。二つのモーターを載せたホンダ独自の「i―MMD」システムを採用。電気だけで走る「EVドライブ」、ガソリンだけで走る「エンジンドライブ」、両者を組み合わせた「ハイブリッドドライブ」の3モードを運転状況に応じて切り替え、低燃費と力強い走りを兼ね備えた。ガソリン1リットル当たりの燃費は25・8キロメートル(JC08モード)とクラストップだ。

 また、ホンダとして初めてi―MMDで4輪駆動(4WD)を設定した。日本では車種を問わずHVが人気な一方、レジャーユースも多いSUVを巡り「4WDでないと嫌だ」というユーザーが少なくない。HVと4WDの組み合わせでニーズに応える。

 二つ目の特徴はガソリン車に7人乗りの3列シート仕様を用意した点。5人乗り仕様と同じ車体サイズながら、燃料タンクを扁平(へんぺい)にしたり、フロアやルーフ関連の設計を工夫したりして空間を確保した。3列目にもスプリング内蔵のシートを採用し乗員の居住性に配慮した。

 各国で先駆けて発売した5代目CR―Vの良いところを詰め込んだ集大成が日本モデル。リアバンパーの下に足先を出し入れしてテールゲートを開閉できる機能を国内ホンダ車で初めて搭載した点もアピールしたい。18インチの大径タイヤや、大きく張り出した前後フェンダーなどSUVらしい外観デザインにも自信を持っている。

 13年発売の小型SUV「ヴェゼル」が、4代目CR―Vをカバーできる存在だったためCR―Vの国内販売は16年8月に終了した。5代目として2年ぶりに復帰した新型CR―Vはヴェゼルより上級なポジションを狙う。3列シート仕様では、ミニバンからの置き換え需要も取り込みたい。まずはホンダユーザーにしっかり訴求する。質感も高めたので欧州車とも勝負できる。

◇CR―V HYBRID EX(2WD)
全長×全幅×全高=4605×1855×1680mm
車両重量=1610kg
乗車定員=5人
エンジン=水冷直列4気筒横置
総排気量=1993cc
最高出力=145馬力
変速機=電気式無段変速機
JC08モード燃費=1リットル当たり25.8km
価格=378万4320円(消費税込み)

日刊工業新聞2018年9月17日

後藤 信之

後藤 信之
09月17日
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ホンダは「N―BOX」の大ヒットにより国内市場の軽自動車領域で存在感を高めた。半面、登録車のブランド力向上が課題として浮き彫りになった。対策としてグローバルモデルの国内投入を進めており、第1弾で17年に発売した中型車「シビック」の販売が堅調だ。CR―Vはこの良い流れを引き継ぎ、より力強いものにできるか、期待がかかる。

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