仕事で使う車を再定義、それで「N-VAN」は何をしたの?

「積載力が優先から乗る人にもきちんと目を向けた」

 ホンダは12日、19年ぶりとなる新型軽商用バン「N―VAN(バン)」を13日に発売すると発表した。エンジンを前方に設置する「フロントシップ」設計を採用。乗用車のような乗り心地を実現したほか、テールゲートと助手席側で二つの開口を確保し荷物の積み降ろしを楽にした。寺谷公良ホンダ執行役員は「仕事で使う車の基準を再定義し、新しいベンチマーク(指標)にしていきたい」と意気込む。

 N―バンはホンダの軽商用バン「アクティバン」の実質的な後継車との位置付け。アクティバンもそうだが、軽商用バンではエンジンを前輪と後輪の間に積む「ミッドシップ」設計が多い。できるだけ荷室長を確保し積載力を高めるためだ。

 対してN―バンはフロントシップを採用した。当然ながら荷室長ではライバル車に勝てない。一方、床下に空間が生まれ、それがN―バンの差別化の源泉となった。

 荷室床面地上高525ミリメートルという低床を実現したほか、後部座席と助手席をたためば、運転席以外のスペースを段差のないフラット(平面)な荷室空間に使える。最大積載量は350キログラムで段ボール箱なら71個積める。

 さらに助手席側で窓枠のないピラーレス設計を軽商用車で初めて採用。テールゲートだけでなく助手席側にも荷物の出し入れルートを確保する「ダブルビッグ大開口」で、荷物の積み降ろしを楽にした。

 またフロントシップ設計の採用で振動などが減り乗り心地も格段に良くなる。開発担当の古舘茂本田技術研究所主任研究員は「軽商用バンは積載力が優先だった。N―バンは乗る人にもきちんと目を向けた」と力説する。

 N―バンの価格は126万7920円(消費税込み)から。競合のダイハツ工業「ハイゼットカーゴ」、スズキ「エブリイ」と比べ高めの設定。ただ安全運転支援機能「ホンダセンシング」を標準搭載したほか、1リッター当たり23・8キロメートルの低燃費性能も実現し、「価格相応の価値を理解していただけると思う」(寺谷執行役員)と自信を示す。

 2017年度の軽商用バン市場は年20万9000台。ダイハツとスズキが存在感を示し、ホンダのシェアは3・5%に留まる。N―バンは年3万6000台の販売を目指し、シェア大幅増を狙う。
(文=後藤信之)

日刊工業新聞2018年7月13日

後藤 信之

後藤 信之
07月13日
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ホンダは「Nシリーズ」の第一段として「N―BOX」を11年11月に発売。17年度はシリーズで、登録車を含む車名別新車販売で年間首位を獲得した。N―バンで「仕事で使う車の再定義」を実現できれば、Nシリーズの“世界”は広がる。

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