「クラリティPHV」がホンダ車の新しい幕開けになるってホント?

電動化への試金石

 中型セダン「クラリティ」にプラグインハイブリッド車(PHV)を追加して20日に発売したホンダ。これまでPHVはリース販売のみ。初めて一般販売に乗り出し電動化への取り組みをアピールする。ホンダは2030年に世界販売の3分の2を電動車にする戦略だ。ホームグラウンドの日本市場でクラリティPHEVが存在感を示せるか、戦略の今後を占う試金石になる。

 「ホンダの電動化の幕開けというメッセージをお伝えする」―。同社の17年の電動車販売は約26万台と全体の5%。販売比率3分の1という30年目標に向けてクラリティPHEVが担う役割について日本本部商品ブランド部商品企画課の森谷翔太氏はこう説明する。

 100キロメートル超のEV(電気自動車)走行距離の実現で、日常生活ではEVモードだけで利用できると見る。「クラリティPHEVでEVを体験し、(今後、ホンダが投入する専用)EVに抵抗なく踏み込んでもらう」(開発責任者の清水潔本田技術研究所主任研究員)ことを狙う。

 ホンダは販売店に充電器を設置するなど電動車販売の体制整備も進める。クラリティPHEVの販売計画は年1000台と控えめ。ただ現状では希薄な「ホンダ=電動車」のイメージを強化できれば、成功といえる。

 PHVはEVモードと、モーターとエンジンを併用するハイブリッド車(HV)モードを切り替え効率的に走る。電池が切れるとHV車で走行する。EVと比較し、電池残量を気にせず安心して乗れるメリットがある。

PHV車種充実、普及の節目


 日本自動車販売協会連合会によると17年度のPHV販売(輸入車を含む)は前年度比2・5倍の3万4108台と新車市場全体の1%に満たない。急激な伸びはトヨタ自動車が17年2月に新型「プリウスPHV」を投入した効果が大きく、まだ安定的な成長市場と言えない。

 トヨタ、ホンダに続き、三菱自動車は「アウトランダーPHEV」で、EVモードの走行距離を伸ばす大幅な一部改良を実施して8月に投入する。また外国メーカーのPHVも増えている。

 PHVはまだ黎明(れいめい)期といえるが、性能面、品ぞろえは充実してきた。消費者がエコカーを購入する際の一般的な選択肢の一つになれるか。最初の節目を迎えている。
                   

日刊工業新聞2018年7月20日

後藤 信之

後藤 信之
07月21日
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クラリティPHEVは、電気だけで走るEV(電気自動車)モード走行距離が114・6キロメートルと長い点が最大の特徴。13―16年にリース販売した「アコードPHV」と比べ3倍に伸ばした。

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