三菱重工、長崎でフェリー建造再開へ。商船事業の試金石

「むやみに受注に走ることはしない」

 三菱重工業は長崎造船所(長崎市)で大型フェリーの建造を再開する。欧州船主など複数社と受注交渉を進めており、2018年度内の成約を目指す。客船を手がけた本工場の立神地区(飽の浦町)で建造する方針。長崎造船所でのフェリー建造は12年に引き渡して以来。全長200メートルを超える大型フェリーになる見通し。商船事業改革の試金石となる。

 長崎造船所でフェリーを建造するのは12年に新日本海フェリーに引き渡した「RoPax」と呼ばれる豪華フェリー「すずらん」「すいせん」以来。中小型を手がける下関造船所(山口県下関市)と2工場でフェリーを手がけることになる。

 本工場では防衛省向けの新型護衛艦も建造するため、工事の進め方を調整している。大型フェリーは老齢船が多く、欧州を中心に根強い代替需要が期待できる。ただ、巨額損失を計上した客船建造を踏まえ「むやみに受注に走ることはしない」(三菱造船の大倉浩治社長)。

三菱造船社長インタビュー「マーケットはある」



 今後の事業戦略について、三菱造船(横浜市西区)の大倉浩治社長に聞いた。

 ―長崎造船所でフェリー建造を再開する計画です。
 「マーケットはある。主として欧州だが、アジアのクルーズ客船需要などが増える可能性がある。案件は多く、納期とコストが合えば、18年度に受注したい。長崎造船所・立神地区、下関造船所の設備投資を増やし、老朽更新と建造効率を高める」

 ―商船事業では事業規模2000億円を目指します。
 「RoPaxを取り込みつつ、需要が盛り上がれば液化天然ガス(LNG)運搬船も受注する。環境規制対応技術にも力を入れる。年間受注高1500億円をベースに積み上げていく。引き締まった事業体質にした上でバランス良く受注するのが理想だ。25―26年頃には目標を達成したい」

 ―体質強化に向けた取り組みは。
 「サプライチェーン全体で取り組む。工場の生産性改革も進めるが、鋼板やエンジンなど資機材の大半を外部から調達しており、サプライヤーと一体になったコスト改革が最重要だ。客船など高密度艤装(ぎそう)船になるほど効果は大きく、サプライヤーと連携したコスト改革への支援をお願いしたい」

 ―今治造船(愛媛県今治市)、名村造船所、大島造船所(長崎県西海市)との提携の進捗(しんちょく)は。
 「個別に協力を進めているが、共同受注などの大きな成果はない。受注案件が増えてくれば、もう少しやれることがある」
三菱造船社長・大倉浩治氏

日刊工業新聞2018年6月27日

日刊工業新聞 記者

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06月28日
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三菱重工は今後3年間を商船事業の体質改善期間と位置付ける。受注高は年平均1200億円規模の見通し。フェリーや官公庁船、環境規制対応のマリンエンジニアリング事業を強化し、事業規模を2000億円に引き上げる方針だ。
(日刊工業新聞・鈴木真央)

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