BMWやアップルの技術者も集まる中国EVベンチャー、覇権争い激化

CESアジアで出典相次ぐ

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拝騰(バイトン)が発表したセダン型EV「Kバイト」
 中国で電気自動車(EV)ベンチャー企業が勃興してきた。独BMWの元技術者らが創業したEVブランドの拝騰(バイトン、南京市)は、2019年の量産開始に向け5億ドル(約550億円)の資金調達を完了。15年設立の浙江零跑科技(杭州市)なども市場投入を急ぐ。EV普及を促す中国政府の政策に自動運転技術などの実用化が重なり、中国市場でEVが本格的な普及期を迎えようとしている。

 「単なるコンセプトではない。実現する車だ」。バイトンのダニエル・キルヒャート共同創業者は上海市で開催中の家電・IT見本市「CESアジア」で自信を示した。2種類の試作車は横長の大型画面を車内に配置するのが特徴。19年後半に中国で、20年に米欧で発売する。

 バイトンは16年の設立。本社こそ南京市にあるが、米シリコンバレーやドイツにも開発拠点を置く。独BMWや米アップルの元技術者らも加わって、“国際分業”で開発を進める。

 同社はこのほど中国の自動車メーカーである中国第一汽車や車載電池で世界首位の寧徳時代新能源科技(CATL)などから計550億円の出資を受けた。南京市に建設中の工場はピーク時に年産能力30万台を計画する。

 一方、浙江零跑科技も中国資本を中心とした資金調達に成功した。自動運転技術などを盛り込んだ独自のEV「S01」を開発し、21年に「レベル4」の完全自動運転車を実用化する目標。同社幹部は「自動車業界の華為技術(ファーウェイ)を目指す」と豪語する。

 CESアジアにはほかに北京市に拠点を置く新興EVブランドの奇点汽車やEVと電池の両方を手がける比亜迪(BYD)、電池メーカーの深圳市比克電池(BAK)などが出展。展示会場の5分の1以上を自動車関連ブースが占め、モーターショーのような様相を呈している。

 中国政府は19年から「新エネルギー車(NEV)規制」を導入、自動車メーカーにEVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの生産・販売を義務付ける。中国ではこれら政策主導で世界最大のEV市場が立ち上がる見通し。みずほ銀行産業調査部の予測では、中国は30年の総販売台数(3550万台)の29%をEVが占め、日本(6%)や米国(4%)などの国と比べ突出して高くなる。

日刊工業新聞2018年6月15日

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もっとも、EVベンチャーの草分けである米テスラはセダン「モデル3」の量産でつまずいているほか、年内には既存の自動車メーカーが相次いで中国専用EVの投入を予定する。華々しいコンセプト車をアピールするベンチャーも量産工場の立ち上げはこれからで、EVをめぐる新旧勢力の覇権争いが激化しそうだ。

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