空前のコンデンサー不足、太陽誘電が新工場検討

太陽誘電の登坂正一社長インタビュー

 電子部品の中で代表的な受動部品であるコンデンサーは現在、供給が追いつかず、あらゆる分野でボトルネックとなる“コンデンサーショック”が続いている。IoT(モノのインターネット)の普及に伴い、スマートフォンや自動車のほか、データセンター(DC)などにおいても汎用性の高い電子部品として需要が広がっているためだ。コンデンサーの需要が潮目を迎える中、太陽誘電の登坂正一社長に今後の展望を聞いた。

 ―2019年3月期から始まる3カ年中期経営計画で意欲的な目標を掲げています。
 「市場の動向が大きく変わったことで手応えを感じている。スマホ市場だけでなく、車や産業機器の市場で需要が旺盛だ。特に半導体などとセットとなるコンデンサーの引き合いが強い。そのため、21年3月期までに目標とする売上高3000億円、営業利益率10%以上という数値は堅いと判断した」

 ―18年3月期の売上高に占める車・産機分野の割合が初めて3割を突破しました。
 「21年3月期には同分野を38%まで増やす計画だ。どの市場にも過度に依存しない“黄金比”と位置付けている。車は『CASE』(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)に関わる需要を見込んでおり、産機はDC向けの引き合いが底堅い。第5世代通信(5G)の普及を勘案すると、さらに加速するはずだ。むしろ想定以上に需要が前倒しになっているため、増産対応を進める必要が出てきた」

「あらゆる市場で電子部品の需要が増えている」


 ―工場の稼働状況は。
 「フル生産が続いている。生産の割合が高かったスマホ向けコンデンサーは、基となる誘電体シートを細かく切断することで極小の製品を大量に生産してきた。だが、車や産機向けはスマホと比べて大きい『2012サイズ』がメーン。大量に生産するためには後工程ではなく、誘電体シートを作る前工程の生産が求められている」

 ―中計では過去3年間と比べて1・5倍となる1500億円の設備投資を予定しています。
 「生産体制の構築が急務だ。約100億円を投じて新潟県上越市に新工場を建設中で、12月に完工する。19年3月に稼働できるが、それでも足りない。そのため、中計の間でさらなる新工場の建設を検討する必要がある。工場の人員を確保できるかなど人手不足の問題があるため、建設候補地は新潟県上越市や中国、韓国など国内外を視野に入れる」

 ―4月にはエルナーを子会社化しました。狙いは。
 「欧州の車市場で進む48ボルト電源の対応が狙いだ。低電圧でモーターを駆動するマイルドハイブリッド車(HV)の電圧帯には、エルナーのアルミ電解コンデンサーが有効だ。積層セラミックコンデンサー(MLCC)で対応する場合、開発が間に合わない。足元の需要はエルナーの製品で補完し、次の需要となる電気自動車(EV)向けはMLCCで対応する。両社の製品ラインアップを生かし、コンデンサー事業でシナジーを創出
していく」

 -新事業に対する取り組みを教えてください。
 「部品の単品売りではなく、部品を中核としたコトの提供を行う。システム売りやソリューションが想定されるため、他社との協業が必要となるだろう。電動アシスト自転車用のエネルギー回生システムや触覚部品などが立ち上がりつつある。中計の間で種をまき、20年度以降には数百億円クラスのビジネスに育てたい」

日刊工業新聞2018年6月7日に加筆

渡辺 光太

渡辺 光太
06月07日
この記事のファシリテーター

半導体と並んで、コンデンサーはIoTの普及におけるキーデバイスの一つだ。ただ、17年から業界内で需要が逼迫し、深刻な供給不足が起きている。電子部品メーカー各社は増産するために設備を発注しているものの順番待ちの状態だ。一方で、スマホ市場が出荷台数の増加に陰りをみせるなど将来が不透明な状況でもある。投資判断が難しい局面だが、需要を先回りし、思い切った投資に踏み出せるかが問われている。

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