自動車部品メーカーで熱間プレスが増えているワケ

完成車メーカーの「超ハイテン」採用見据える

 自動車プレス部品メーカーが、ホットスタンプ(熱間プレス)と呼ぶ高強度材の生産設備を相次ぎ増強する。車の軽量化ニーズを背景に、完成車メーカーが超高張力鋼板(超ハイテン)など高強度素材の採用比率を高めるためだ。一方、プレス部品世界最大手であるスペインのゲスタンプ・オートモシオンも今夏、日本で新工場を稼働する。新素材への対応を巡り、部品メーカー間の競争が激化している。

 トヨタ自動車系部品メーカーのフタバ産業は今秋、幸田工場(愛知県幸田町)とカナダの工場でホットスタンプの新ラインを稼働する。投資額は105億円。既にホットスタンプ設備がある六ツ美工場(愛知県岡崎市)と合わせてホットスタンプで計6本のラインを構築し、トヨタの新型モデル向けに供給体制を整える。

 ホットスタンプは鋼材を加熱し、軟らかい状態で成形する技術。欧州を中心に普及しており、一部の欧州車では既に車体の30%―40%にホットスタンプ材を用いているという。

 超ハイテンなどの高強度材の成形に適するほか、形状の自由度が高いのも特徴だ。フタバ産業の中西良行理事は「冷間プレスでは難しい複雑形状の部品などでホットスタンプの需要が高まる」と話す。

 一方、生産性では冷間プレスに分があり、超ハイテンを冷間で加工する技術の開発も進む。トヨタ系プレス部品大手の豊田鉄工(愛知県豊田市)は3月、額田工場(同岡崎市)で加圧能力3000トンのプレス機を増設した。

 同社は既に日本や米国、トルコ、中国工場にホットスタンプ設備を導入済み。「両方の部品群がある」(宝田和彦社長)として、熱間、冷間の“両にらみ”で投資を続ける。

 三菱自動車などを主要取引先に持つアスカも10月から本社工場(愛知県刈谷市)で同3500トンのプレス機を稼働する計画だ。

 各社が意識するのがゲスタンプの動向だ。同社は16年に三井物産から12・5%の出資を受け、日本事業の基盤構築を加速。三重県松阪市に新工場を建設中で8、9月をめどに量産を始める。

 日本に生産拠点を持つのは初めてだ。同社幹部は、「ホットスタンプ材の開発を含めて他社と差別化し、日本で存在感を発揮したい」と話している。
(文=名古屋・杉本要)

日刊工業新聞2018年6月8日

杉本 要

杉本 要
06月10日
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電気自動車(EV)など電動車の登場で重い電池やモーターの搭載が拡大しており、車体軽量化のニーズは一段と高まると予測される。各社はアルミニウムや炭素繊維複合材の加工といった、ホットスタンプの先にある軽量化対応技術の開発にも動いており、次なる一手が期待される。

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