熊本の隠れた戦時遺産 山里の旧海軍“秘密基地”
熊本 錦町・人吉海軍航空隊基地跡
九州熊本の山里に旧日本海軍の秘密基地―。山里と海軍。意外な取り合わせに興味を抱かずにはいられない。場所は人吉盆地の美しい自然に囲まれた熊本県錦町。町中を清流球磨(くま)川が流れる。「人吉海軍航空隊基地があったことが明らかになったのは2015年でした」(手柴智晴錦町企画観光課地域振興係)。旧海軍が本土決戦に備えて整備した施設のうち総面積約1万平方メートル、総延長約4キロメートルの地下施設など遺構の現存が分かった。
「このあたりはかつての飛行場跡地です」。手柴さんの四輪駆動車で走る一般道も軍用道路だった。旧庁舎居住区跡の入り口には隊門が残る。森の中で見つかった松根油(しょうこんゆ)生産工場跡は現在も発掘調査が続く。松根油は当時開発中のジェット戦闘攻撃機“橘花”の燃料として期待されていた。
一番の見所、魚雷調整場と地下司令室跡など地下トンネルに入ると、外は夏日だがひんやりとしている。コンクリートでアーチ状に固めたトンネルが続く。歩を進めるとさわさわ音が聞こえてくる。なにか獣くさい。奥に進むと照明にあわてて飛び交うコウモリ。こちらもあわてて外に出た。
錦町は遺構を観光資源としてPR中だ。手柴さんは「遺構を後世に残すために認知と理解が必要」という。戦争の歴史と平和に思いをはせる“秘密基地”ツアー。保存や安全のためにも企画観光課に予約をしての訪問がお薦めだ。
(文=勝谷聡)
「このあたりはかつての飛行場跡地です」。手柴さんの四輪駆動車で走る一般道も軍用道路だった。旧庁舎居住区跡の入り口には隊門が残る。森の中で見つかった松根油(しょうこんゆ)生産工場跡は現在も発掘調査が続く。松根油は当時開発中のジェット戦闘攻撃機“橘花”の燃料として期待されていた。
一番の見所、魚雷調整場と地下司令室跡など地下トンネルに入ると、外は夏日だがひんやりとしている。コンクリートでアーチ状に固めたトンネルが続く。歩を進めるとさわさわ音が聞こえてくる。なにか獣くさい。奥に進むと照明にあわてて飛び交うコウモリ。こちらもあわてて外に出た。
錦町は遺構を観光資源としてPR中だ。手柴さんは「遺構を後世に残すために認知と理解が必要」という。戦争の歴史と平和に思いをはせる“秘密基地”ツアー。保存や安全のためにも企画観光課に予約をしての訪問がお薦めだ。
(文=勝谷聡)
【アクセス】▽主要な遺構は広範囲に点在しており移動は車が便利。7月に資料館も開設される予定だ。錦町までは九州道人吉インターチェンジから車で約20分。鉄道の場合JR熊本駅から人吉駅まで約90分、くま川鉄道に乗り換えて約11分、肥後西村駅下車、タクシーで約5分。問い合わせは錦町企画観光課(0966・38・4419)へ。
日刊工業新聞2018年5月4日