“移動弱者”を救え!自動運転バスやドローン活用すぐそこに

人手不足や地方の高齢者などの課題解消へ

  • 0
  • 6
先進モビリティの既存の自動運転バス
 第4次産業革命の一角を担う移動革命―。政府は2020年に無人自動走行による移動サービスを実現し、20年代には飛行ロボット(ドローン)が都市でも安全な荷物配送を本格化するシナリオを描く。人手不足や地方の高齢者など“移動弱者”をめぐる課題解消と同時に、新たなビジネスの創出が期待される。実現に向けた企業の取り組みも活発化している。

自動運転バス JR東など、レベル4実証


 JR東日本や自動運転システム開発の先進モビリティ(東京都目黒区)などは、宮城県東部を通る気仙沼線のバス輸送区間で19年から自動運転バスの走行実験を始める。路面の磁石に沿って走る「磁気マーカー」方式を使い、システムがすべての操作を担う「レベル4」の自動運転技術を検証する。少子高齢化で地域の公共交通維持が課題になる中、各地で自動運転技術の活用が加速している。

 実験はJR東日本が17年に創設したオープンイノベーション活動「モビリティ変革コンソーシアム」の枠組みで進める。先進モビリティのほかソフトバンク系のSBドライブ、トヨタ自動車グループの愛知製鋼などが参画する。

 路面に一定の間隔で磁石を埋め込み、車載の磁気センサーで感知して走行。操舵(そうだ)やブレーキなども自動で制御する。磁気マーカーシステムは全地球測位システム(GPS)やカメラによる自動運転と比べ、磁石の埋設コストなどがかかる一方、衛星信号の届かないトンネルや白線認識の難しい雪道といった条件での走行安定性に優れるとされる。

 気仙沼線は11年の東日本大震災で線路や架線などに被害を受けて不通となり、JR東日本は12年にバス高速輸送システム(BRT)で復旧した。一部が専用道になっており、自動運転技術を導入しやすい側面がある。

 地域の公共交通に自動運転技術を活用する試みは全国的に広がっている。国土交通省は17年度、全国13カ所の「道の駅」などで実証実験を実施。愛知県も運転席に人がいない「遠隔型自動運転車」の公道実証を行った。

 先進モビリティは元トヨタ自動車の技術者らが14年に設立。自動運転バスの実証実験を重ねている。

ドローン 「規制緩和」に備え着々


 18年夏以降、目視外飛行をはじめとするドローンの各種規制緩和が予定される。ドローンメーカーや関連企業は市場拡大を見越し、さまざまな事業に着手、または開始準備を進めている。

 NECはドローン運航管理サービス事業を準備中だ。ドローンの飛行情報や空域情報を集中管理し、安全で効率的なドローン活用をサポートする。「規制緩和で多数のドローンが飛行するようになればドローン空港や飛行禁止空域情報、接近アラート情報提供などが必要になる」。NECフィールディングの担当者は説明する。

 国際航業は農家向けにクラウド型営農支援サービスを始めた。ドローンで田畑上空から撮影した画像を水分率や生育診断マップの形で農家に提供、収穫時期の判断や農場管理に活用してもらう。「広い田畑を人が回らなくても状態を確認でき、コストを減らせる」と同社。エンルート(埼玉県朝霞市)も農業や測量向け機種を強化中だ。

 ドローンは無人ヘリコプターよりも安価で、操縦も簡単な利点がある。ブイキューブロボティクス(東京都渋谷区)はドローンを使った設備点検や警備・監視サービスを計画中。「造船所や石油化学コンビナートなどの監視で需要が見込める」と期待している。
ドローンの開発・技術者らによる第4回国際ドローン展

日刊工業新聞2018年4月20日

COMMENT

葭本隆太
デジタルメディア局
ニュースイッチ編集長

記事中に登場するSBドライブの自動運転バスに乗車したことがあります。短い周遊ルートではありましたが、バスのルートに急に人が飛び出してもしっかり停止できるなど、未来が目前に迫っていると感じました。

関連する記事はこちら

特集