存在感光る技術持つ、トヨタ系サプライヤー中堅2社のトップが語ること
フタバ産業、愛三工業社長インタビュー
**フタバ産業社長・吉貴寛良「高成長インドに投資」
―今秋にインド新工場を稼働します。
「インド西部グジャラート州にあるスズキの工場内に“オンサイト”方式で稼働する。インドでは2カ所目の工場だ。インドは道路環境などのインフラ面の整備が課題ではあるが、当社進出先の中で最も成長性が高く、年率約7%で事業が伸びている」
―中国やインドなど新興国市場は大幅な電気自動車(EV)拡大も予測されます。
「もし全車がEVになれば、排気管を手がける当社として影響は甚大だ。ただ、どのモビリティーに乗るかは最終的に消費者が決めること。我々は顧客である自動車メーカーの投資方針を見極めることに尽きる」
―足元の業績は好調に見えます。
「製品不良率の低減など地道な取り組みの結果だ。製品の付加価値向上を提案しつつ、原価構造を正確に把握する取り組みを2年ほど進めてきた。18年後半に発売される車種からこうした収益性の高い製品が搭載され、世に出て行く。新規製品の立ち上げを乗り切れば、フタバ産業の収益性は変わる」
―車の電動化への対応は。
「今後もハイブリッド車(HV)向けなどに内燃機関は残り、排気管のニーズもある。ただ電池スペースなどの拡大で排気系統の小型化が進むだろう。電動車では、今まで以上の軽量化や、これまで捨てていた熱の活用など新しいニーズが出てくる。開発項目はたくさんある」
【記者の目/排気管技術応用カギ】
排気管大手の同社だが、売上高の約5割は車体や足回り部品が占め、EVなど電動車の開発で技術ニーズはむしろ増すとみられる。今後は、排気管で培った熱制御などの技術を電動車両向けにも生かせるかが事業基盤拡大に向けたカギとなりそうだ。
(名古屋・杉本要)
―トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)を中心とする電動車戦略を出しました。
「電気自動車(EV)の時代は確実に来ると思うが、当社はまずベースとなるエンジン領域の技術をしっかりカバーしたい。2輪車向けの燃料ポンプの技術などを軽や小型4輪車に応用し、低コスト化を進める。振動や騒音対策といった技術課題もある。トヨタからのエンジン適合試験の受託もここ数年で増えている」
―エンジンを使わない無排出車(ZEV)向けの製品開発は。
「エンジン部品で培った流体制御の技術はEVや燃料電池車(FCV)にも生きる。1月に役員直轄の『未来開発グループ』を設置した。電池の冷却系統の研究や、小型モーターの用途開拓などに取り組む。今後、電子制御の領域では他社との協業も検討する」
―既存事業ではインド企業との合弁会社を設立します。
「インドのフィエム・インダストリーズと電子制御の燃料噴射(FI)システムを生産する。世界最大の2輪車市場であるインドでは、2020年に2輪車の排ガス規制が強化され、2輪車の『FI化』が一気に進む。当社は既にインド南部に独資の工場があるが、同国北部で合弁工場を立ち上げてインド流の低コストなモノづくりを学びたい。フィエムとは3月にも合弁工場の正式契約を結ぶ。19年秋に稼働し、既存工場との計2拠点で年産500万台規模を生産したい」
【記者の目/将来見据え足場固め】
同社は新興国需要や完成車メーカーからの外部発注ニーズに支えられ、当面は好業績が続きそうな印象。一方でエンジン部品が主力なだけに“電動車シフト”への対応も明確な課題。最近は電子制御領域にも力を入れており、将来を見据えた足場固めを加速している。
(名古屋・杉本要)
―今秋にインド新工場を稼働します。
「インド西部グジャラート州にあるスズキの工場内に“オンサイト”方式で稼働する。インドでは2カ所目の工場だ。インドは道路環境などのインフラ面の整備が課題ではあるが、当社進出先の中で最も成長性が高く、年率約7%で事業が伸びている」
―中国やインドなど新興国市場は大幅な電気自動車(EV)拡大も予測されます。
「もし全車がEVになれば、排気管を手がける当社として影響は甚大だ。ただ、どのモビリティーに乗るかは最終的に消費者が決めること。我々は顧客である自動車メーカーの投資方針を見極めることに尽きる」
―足元の業績は好調に見えます。
「製品不良率の低減など地道な取り組みの結果だ。製品の付加価値向上を提案しつつ、原価構造を正確に把握する取り組みを2年ほど進めてきた。18年後半に発売される車種からこうした収益性の高い製品が搭載され、世に出て行く。新規製品の立ち上げを乗り切れば、フタバ産業の収益性は変わる」
―車の電動化への対応は。
「今後もハイブリッド車(HV)向けなどに内燃機関は残り、排気管のニーズもある。ただ電池スペースなどの拡大で排気系統の小型化が進むだろう。電動車では、今まで以上の軽量化や、これまで捨てていた熱の活用など新しいニーズが出てくる。開発項目はたくさんある」
【記者の目/排気管技術応用カギ】
排気管大手の同社だが、売上高の約5割は車体や足回り部品が占め、EVなど電動車の開発で技術ニーズはむしろ増すとみられる。今後は、排気管で培った熱制御などの技術を電動車両向けにも生かせるかが事業基盤拡大に向けたカギとなりそうだ。
(名古屋・杉本要)
愛三工業社長・小林信雄氏「インド北部に新工場」
―トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)を中心とする電動車戦略を出しました。
「電気自動車(EV)の時代は確実に来ると思うが、当社はまずベースとなるエンジン領域の技術をしっかりカバーしたい。2輪車向けの燃料ポンプの技術などを軽や小型4輪車に応用し、低コスト化を進める。振動や騒音対策といった技術課題もある。トヨタからのエンジン適合試験の受託もここ数年で増えている」
―エンジンを使わない無排出車(ZEV)向けの製品開発は。
「エンジン部品で培った流体制御の技術はEVや燃料電池車(FCV)にも生きる。1月に役員直轄の『未来開発グループ』を設置した。電池の冷却系統の研究や、小型モーターの用途開拓などに取り組む。今後、電子制御の領域では他社との協業も検討する」
―既存事業ではインド企業との合弁会社を設立します。
「インドのフィエム・インダストリーズと電子制御の燃料噴射(FI)システムを生産する。世界最大の2輪車市場であるインドでは、2020年に2輪車の排ガス規制が強化され、2輪車の『FI化』が一気に進む。当社は既にインド南部に独資の工場があるが、同国北部で合弁工場を立ち上げてインド流の低コストなモノづくりを学びたい。フィエムとは3月にも合弁工場の正式契約を結ぶ。19年秋に稼働し、既存工場との計2拠点で年産500万台規模を生産したい」
【記者の目/将来見据え足場固め】
同社は新興国需要や完成車メーカーからの外部発注ニーズに支えられ、当面は好業績が続きそうな印象。一方でエンジン部品が主力なだけに“電動車シフト”への対応も明確な課題。最近は電子制御領域にも力を入れており、将来を見据えた足場固めを加速している。
(名古屋・杉本要)
日刊工業新聞2018年2月22日