「ランドローバー」からも受注、日産系サプライヤーが高級車を狙う理由
ドアトリム、装飾の良質感を維持しながら生産コストを下げ大衆車へ
**<河西工業・堀浩治社長に聞く>
―新しい技術棟が稼働しました。
「開発の初期段階から海外の開発担当者が関われるようにする。間接経費の削減を考えると、現地採用が増える。海外で優秀な人材を獲得するためには、モチベーションを高める施策が重要になる。開発初期から携われる環境を整備した」
―工場の効率化を進めています。
「ある程度のボリュームがある製品は自動ラインを積極的に導入する。ベーシックな部分での効率化も同時に進める。例えば、5人必要なラインを3人にできないか、一つの部品を作るのに30秒かかっているのを25秒に短縮できないかといった原点に立ち返った効率化活動をグローバルで展開していく」
―スロバキアに工場を新設します。
「英ジャガー・ランドローバー(JLR)向けにドアトリムとトランク部品を受注した。工場稼働は19年半ば以降を予定する。スロバキアには独フォルクスーゲン(VW)や独ダイムラーなどもある。将来は他の完成車メーカーへの供給も視野に入れるが、当面はJLRに集中する」
―電気自動車(EV)への対応は。
「車内の静粛性や快適性が重要になる。バッテリーの負荷を低減させるために、室内の遮熱も求められるだろう。内装製品で、どのような機能を提供できるか検討している。自社だけでなく、非自動車分野の知恵を借りながら開発を進める」
河西工業が独自開発した新技術で、主要顧客の日産自動車以外の完成車メーカーで採用実績を伸ばしている。内装部品のドアトリム向けに開発した、合成表皮を立体形状に木目込みをする技術は、SUBARU(スバル)やダイハツ工業の量産車種に採用された。高級車種に施される装飾の良質感を維持しながら生産コストを下げることにより、大衆車での利用を可能にした点が評価された。
「自動車の内装系は高級車種で使われた加飾表現を大衆車に移転する傾向がある」―。先行開発を担当する田村谷誠執行役員は、製品開発をする上での勘所をこう説明する。河西工業は高級車種の動向を探るため、毎年フランスの「パリオートサロン」やスイスの「ジュネーブモーターショー」に参加して情報収集をしている。
ドアトリム部品の溝に合成表皮を立体的に埋め込む技術「3D木目込み」は、スバルのスポーツワゴン「レヴォーグ」とダイハツの軽自動車「ムーヴ」に採用された。通常、パワーウインドーなどのスイッチ周りのトリム部品に表皮を埋め込む場合、同部品をドアトリム全体とは別に成形し、人の手で木目込みをする。
ただ同工法では生産工程が複雑化しコスト高になる。そのため、河西工業はスイッチ周りの部品をドアトリムと一体的に成形し、自動機械などを使って生産する製造法を確立。生産コストを抑えて、高級車種でしかできなかった高い意匠性を実現した。
高級車種からヒントを得た技術開発には、日産の高級車種で採用されたドアトリム表皮に広範囲に複雑なステッチを自動で施す縫製もある。また、日産の小型車「ジューク」や「ノート」の新駆動方式「eパワー」に採用された塗装レスでメタリック調の色彩を実現した技術などもある。田村谷執行役員は「技術の複合化により生産コストを下げることで、高級車種の加飾表現を大衆車にも取り入れていく」と意気込む。
―新しい技術棟が稼働しました。
「開発の初期段階から海外の開発担当者が関われるようにする。間接経費の削減を考えると、現地採用が増える。海外で優秀な人材を獲得するためには、モチベーションを高める施策が重要になる。開発初期から携われる環境を整備した」
―工場の効率化を進めています。
「ある程度のボリュームがある製品は自動ラインを積極的に導入する。ベーシックな部分での効率化も同時に進める。例えば、5人必要なラインを3人にできないか、一つの部品を作るのに30秒かかっているのを25秒に短縮できないかといった原点に立ち返った効率化活動をグローバルで展開していく」
―スロバキアに工場を新設します。
「英ジャガー・ランドローバー(JLR)向けにドアトリムとトランク部品を受注した。工場稼働は19年半ば以降を予定する。スロバキアには独フォルクスーゲン(VW)や独ダイムラーなどもある。将来は他の完成車メーカーへの供給も視野に入れるが、当面はJLRに集中する」
―電気自動車(EV)への対応は。
「車内の静粛性や快適性が重要になる。バッテリーの負荷を低減させるために、室内の遮熱も求められるだろう。内装製品で、どのような機能を提供できるか検討している。自社だけでなく、非自動車分野の知恵を借りながら開発を進める」
日刊工業新聞2018年2月21日
スバルやダイハツにも
河西工業が独自開発した新技術で、主要顧客の日産自動車以外の完成車メーカーで採用実績を伸ばしている。内装部品のドアトリム向けに開発した、合成表皮を立体形状に木目込みをする技術は、SUBARU(スバル)やダイハツ工業の量産車種に採用された。高級車種に施される装飾の良質感を維持しながら生産コストを下げることにより、大衆車での利用を可能にした点が評価された。
「自動車の内装系は高級車種で使われた加飾表現を大衆車に移転する傾向がある」―。先行開発を担当する田村谷誠執行役員は、製品開発をする上での勘所をこう説明する。河西工業は高級車種の動向を探るため、毎年フランスの「パリオートサロン」やスイスの「ジュネーブモーターショー」に参加して情報収集をしている。
ドアトリム部品の溝に合成表皮を立体的に埋め込む技術「3D木目込み」は、スバルのスポーツワゴン「レヴォーグ」とダイハツの軽自動車「ムーヴ」に採用された。通常、パワーウインドーなどのスイッチ周りのトリム部品に表皮を埋め込む場合、同部品をドアトリム全体とは別に成形し、人の手で木目込みをする。
ただ同工法では生産工程が複雑化しコスト高になる。そのため、河西工業はスイッチ周りの部品をドアトリムと一体的に成形し、自動機械などを使って生産する製造法を確立。生産コストを抑えて、高級車種でしかできなかった高い意匠性を実現した。
高級車種からヒントを得た技術開発には、日産の高級車種で採用されたドアトリム表皮に広範囲に複雑なステッチを自動で施す縫製もある。また、日産の小型車「ジューク」や「ノート」の新駆動方式「eパワー」に採用された塗装レスでメタリック調の色彩を実現した技術などもある。田村谷執行役員は「技術の複合化により生産コストを下げることで、高級車種の加飾表現を大衆車にも取り入れていく」と意気込む。
日刊工業新聞2017年6月26日