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なぜ会津若松は多くのハイテク企業が集積する「注目の場」になったのか?

「IoT×地方創生 会津若松からの報告」
なぜ会津若松は多くのハイテク企業が集積する「注目の場」になったのか?

500人が就業できる会津若松市のICTオフィスビル(完成イメージ)



実証事業 スマートアグリ


 パネリストの一人である株式会社ルートレック・ネットワークスの佐々木氏は、会津若松市を舞台に農業分野でのICTの実証事業に取り組んでいる。同社が開発したIoTによる農業ソリューションは、会津若松の9つの経営体に導入されている。市は導入にあたって、地方創生交付金から各経営体に上限400万円の整備補助を行っている。

佐々木「日本の農業を取り巻く一番の問題は、農家の高齢化ではなく、若い人たちが農業に入ってこないことだと思います。それはなぜか。新規参入してもなかなか収入につながらないからです。農業を魅力ある産業にするためには、まず“儲かる”産業にしなければいけません。新規参入しても、すぐにそれなりの収入を得ることができる仕組みを作る必要がありました」

佐々木「農家の方々にヒアリングすると、農業で最も経験が必要なのは『水やり』と『施肥』だということが分かりました。長年の経験が必要な作業を自動化することによって、新しく農業を始めた人の収支改善、作業時間の削減による事業拡大につながります。そして開発したのが『ZeRo.agri』です。栽培効率は良いが複雑なノウハウが必要だった点滴灌漑を、IoT技術によって自動化しました」

「ZeRo.agri」を導入した農家のイチゴは一年で、10%の労働時間削減、19.5%の販売金額増加を達成している。

石橋史朗氏(左から)、佐々木伸一氏

ICT×○○の人材育成


佐々木「農業は毎年が勝負の年です。一つ失敗するとその年の収入を失う。だから、どうしても保守的になってしまいます。新しいデバイスを開発しても、なかなか導入してもらえない。スマートアグリを進めていくためにクリアしなければならない課題です。国、自治体、企業、農家が一体となってハイテク農家を育成する必要があると感じます」

藤井「佐々木さんの指摘は、まさに私たちが直面している問題です。農業だけの話ではなく、例えばヘルスケアのノウハウとデータ分析を両方兼ね備えている人材はなかなかいない。実際の産業と、ICTの間を取り持つ人材は世界的にもまだまだ足りていません」

石橋「たしかにデータ分析のスキルだけでは事業創出、拡大にはつながりません。逆も然り。実際の産業のノウハウも身につけた人材が必要となってきます。会津若松を舞台にICT×○○の人材育成に先進的に取り組んでいきたいです」
(構成=大森翔平)
ニュースイッチオリジナル
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
このイベント後、聴講者から問い合わせがあったと山崎さんからの報告がありました。これからどんどん輪が広がっていきそうです。

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