日産の電動車がとりわけ雪上で滑りにくい理由

先進技術磨く

雪上でワンペダル操作を実現するEVリーフ

降雪地帯でも車は生活の足として欠かせない。移動の自由と安全性の向上に向けて、日産自動車は滑りやすい道路を走行するための先進技術を開発し、電動車などの主力車種に搭載している。雪上などの悪路で発揮される技術に磨きをかけている。 電気自動車(EV)などシンプルな機構のモーター駆動車は、一般的に発進や加速の反応がスムーズだ。内燃機関車はペダルを踏んでタイヤに駆動力が伝わるまでに、ガソリン燃焼量の調整や減速機の切り替えなどがあるため、わずかな時差が生じる。だが、モーター駆動車は1万分の1秒という単位で制御が可能なため、その時差が少なく直接的に操作できる。 日産はその特徴を最大限生かし、独自のハイブリッド車(HV)技術「eパワー」を搭載した車でアクセルペダルを中心とした雪上走行を可能にしている。不要なペダル操作を省き路面状況に応じて回生ブレーキを発生させることで、スリップ時でもなめらかな減速と挙動安定化を実現する。 これに加えて、EV「リーフ」の最新モデルは電動ブースターによりモーターとブレーキの制御を後輪にも伝え、雪上でもワンペダルで4輪の制動力を発揮する。仲田直樹パワートレイン・EV技術開発本部パワートレイン主管は「ペダルを通して運転手と車両が密接につながっている」と語る。 一方、内燃機関の日産車については制御の介入を感じさせない仕掛けを施している。例えば、高級スポーツセダン「スカイライン」のガソリン車には車両の挙動変化を抑制するシステムに運転手の意図をくむコンセプトを導入した。ペダル操作やハンドル操作を信号として捉え運転手が行きたい方向を予想しながら制御することで、「運転手は操作範囲が広いと感じられる」(蔡佑文インフィニティ製品開発本部主担)という。雪上であっても、運転を楽しむ人や運転に自信がある人に向けて制御技術を進化させた。 一方、「猛スピードによるスリップは車両制御が追いつけないなど物理的な限界はある」と、カスタマーパフォーマンス&CAE・実験技術開発本部の加藤博義氏は指摘する。そのため、雪上でスリップした場合はそもそも一定の速度が出せないなどの限定制御を導入してしまうことも有効だ。だが、そのような制御を増やした場合、「挙動安定性や運転自由度の低下、運転手の心理的な不安を招く可能性がある」(永井暁同部主担)。 あくまで制御とは、不快を感じさせないように“黒子”に徹するべきだというのが開発陣のポリシーだ。悪路での安全性を考慮しつつ、的確な制御と、運転手による操作のバランスをどう取るか。今後の検討材料になりそうだ。 (取材・渡辺光太)

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