「デイズ」開発者の本音、日産が初めで直面した軽の弱点

どのように克服したのか

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日産が軽を開発するのは初めてで当初は手探りだった
【Nissan第一製品開発部第一プロジェクト統括グループセグメントCVE 斉藤雄之氏】

 新型「デイズ」は三菱自動車と共同開発した軽自動車の2代目。体制面で大きく変わったのは開発を三菱自から日産が主導する形に転換した点だ。登録車で搭載実績のある日産の自動運転技術「プロパイロット」を搭載するためだ。軽は日常の足に加え、レジャーの遠出などあらゆる生活シーンで幅広い年齢層に使われるようになった。進化に対応し自動運転・安全支援機能を充実させたのが新型デイズの最大の特徴だ。

 日産が軽を開発するのは初めてで当初は手探りだった。私も長期休暇中は軽を毎日乗り回し、「加速が弱いな」など欠点を含め軽を深く知ることから始めた。ユーザーの声も多く集め、企画部門とも議論を重ねた結果、室内空間や動力性能などの基本要件でライバル車に追いつき、さらに先進技術で差別化するコンセプトを固めた。

 開発では「やはり」というべきか、軽基準のスペースの制約をどう打ち破るかで苦労した。新型デイズでは全長を維持した上でホイールベースを従来モデルと比べ65ミリメートル長くし、後部座席の乗員がゆったり座れるよう仕上げた。しわ寄せはエンジンルームにいきサイズを縮小することになった。しかし従来モデルと同じ設計では衝突安全性を保てない。

 そこで梁(はり)の役割を果たす「メンバー」と呼ぶ部材を2本から4本に増やし衝突時のエネルギーを逃がす工夫をした。実はこの設計は日産の登録車で採用実績がある。登録車で培ったノウハウを生かし、軽の経験がない弱点を強みに変えて自由な発想で開発を進めた。

 自動運転・安全支援技術をつぎ込めば車両価格は上がってしまう。そのため開発段階からコスト削減を意識した。ここで三菱自の協力を得た。

 例えば前席と後席の間のBピラー(柱)。新型デイズでは直線形状のデザインで簡単な工程で加工できる。しかし日産の登録車では曲がったデザインを採用しており、直線形状に適したシンプルな加工法を知らなかった。三菱自の知見がなければ、割高な設計を採用してしまっただろう。

 車両価格はプロパイロット標準搭載グレード(2輪駆動)で156万7080円(消費税込み)。個人的にはとてもお買い得だと思う。

日刊工業新聞2019年4月25日

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