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カメラ映像で港湾荷役効率化、国交省がトラックドライバー不足対応で実証

カメラ映像で港湾荷役効率化、国交省がトラックドライバー不足対応で実証

港湾での荷役効率化が求められる(イメージ)

車両読み取り精度など確認

国土交通省は港湾のコンテナターミナルの荷役効率化を図るため、カメラ映像を使った管理システムの実証を行う。トラックドライバー不足に対し、政府は2月に中長期的な対策として今後10年でモーダルシフトを倍増させる方針を打ち出した。ただ現状のターミナルはゲート前でトレーラーの長い待ち行列が起きるなど効率化が課題。「多少精度が悪くても20台中19台が即入場できれば大きなメリット」という現場のニーズに基づき実証を行う。

国交省は2023年度に貨物輸送事業者などに聞き取りを行うとともに、デジタル技術による効率化の技術提案を公募した。応募があった12件の中からカメラ撮影により入退場管理と車両損傷確認、位置管理を可能とする提案の実証を決めた。

このシステムはトレーラーのナンバーを読み込み登録情報と照合することで、予約車両の入退場が速やかにでき、待ち時間の大幅削減が期待できる。到着時にシャーシ画像を自動撮影することで損傷ダメージが発見でき、後日の問い合わせなどにも正確に対応できる。さらにカメラ撮影で車両位置を追跡し、最終的に移動した位置の座標をスマートフォンなどで確認・記録できるため確認作業の負担も軽減できる。

国交省は内航フェーリーやRORO船(自動車運搬船)ターミナルのうちコンテナの取り扱いがあり夜間にも荷役が行われているターミナルを選定し、読み取り精度や天候の影響、システム導入によるヤードの効率性の向上などを実証する。24年度からスタートし20年台後半までに「次世代高規格ユニットターミナル」として複数の港湾で実用化したい考え。

4月からトラックドライバーの時間外労働が上限規制される。国は足元の対策に加え、中長期的に鉄道輸送や海上輸送へのシフトを進める。国交省はトラック輸送力の不足が想定される輸送距離300キロメートル以上の地域別・品目別の輸送需要を試算中。これに基づき今後10年で内航海運を5000万トン増やすためのハード、ソフト両面の施策を打ち出す。

日刊工業新聞 2024年03月22日

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