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港湾クレーン、FC搭載で脱炭素…三井E&Sがレトロフィット推進

港湾クレーン、FC搭載で脱炭素…三井E&Sがレトロフィット推進

FCを搭載したクレーンで港湾の脱炭素化を支援する

三井E&Sは主力の港湾用クレーン事業で、客先で稼働中の機種に燃料電池(FC)を搭載して脱炭素化を図るレトロフィットビジネスに乗り出す。まず、2024年から米国ロサンゼルスで提案活動を始める。ロサンゼルスのロングビーチ港は30年までに港湾の温室効果ガス(GHG)ゼロエミッション化を目指しており、最新型への更新に比べて費用を抑えられるレトロフィットを対応手段として提案する。

三井E&Sは23年4月に世界で初めて、FCや水素タンクなどで構成されるFCパワーパックを搭載したコンテナ荷役用ラバータイヤ式門型クレーン(RTGC)を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で開発した。港湾用クレーン国内最大手としての納入実績を生かし、各国の主要港に対して脱炭素手段となるFC搭載機種のレトロフィットや更新を提案する。

まずゼロエミッション化の目標時期が近いロングビーチ港の港湾事業者をターゲットに位置付ける。同港では自社製RTGCが約100基稼働している。稼働年数20年超の機種には更新を提案しつつ、同10―15年の機種にはレトロフィットを主に提案して採用拡大を図る。「レトロフィットの需要が出てくる」(高橋岳之社長)とみて候補リストを作成中で、該当機種の事業者に積極提案する。

一般的なRTGCにはディーゼル発電機が搭載され、燃料は軽油だ。ディーゼル発電機や燃料タンクをFCパワーパックに取り換えることで、費用を抑えて脱炭素に対応できる。


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日刊工業新聞 2023年01月09日

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