ホンダ・三菱商事が初の共同事業検討…EVで電力需給を調整
ホンダと三菱商事は12日、電気自動車(EV)のバッテリーを活用した電力事業を共同検討する覚書を締結したと発表した。ホンダのEVに搭載されたバッテリーを定置用蓄電池に再利用するほか、EVと電力系統を接続して売電できるシステムの構築を目指す。バッテリー内のレアメタル(希少金属)の有効利用を図るとともに、再生可能エネルギーの普及で不安定化する電力供給網の需給調整にEVを活用する。
ホンダと三菱商事が共同事業を検討するのは初めて。ホンダのEVやバッテリーの技術と、三菱商事の電力ビジネスの知見を融合して事業化を目指す。2024年にEV展開を本格化させるなどカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指すホンダと、バッテリーの利用価値の最大化を図る三菱商事の意向が合致した。
ホンダが24年から順次販売する軽EVに搭載のバッテリーを対象に定置用蓄電池への転用を図り、バッテリー内のリチウムなどレアメタルを有効利用する。バッテリーの劣化や充放電の履歴などをモニタリングする機能も実装し、技術開発向けにデータを蓄積する。
電力需給に応じてEVが充放電するシステムの構築も図る。電気代の安い日中に充電し、電気代の上がる夕方に放電するなどして効率的に電力を使えるようにする。
さらに、政府の制度整備を見据えてEVを送電網につないで売電できる仕組みも検討する。出力の不安定な再生可能エネが普及する中、EVを分散型電源として電力の需給調整に活用し、脱炭素社会の実現を推進する。
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日刊工業新聞 2023年10月13日