新車販売“王者”のホンダ「N-BOX」6年ぶり全面刷新でどう進化したか
安全運転支援システムを全グレード標準装備
ホンダは5日、新型のスーパーハイトワゴン軽自動車「N―BOX(エヌボックス)」を6日に発売すると発表した。登録車も含む乗用車の国内新車販売台数で2021―22年度に2年連続で1位となった主力車種。11年発売の初代から数えて3代目で6年ぶりの全面刷新となる。ホンダの軽として初めて、コネクテッド技術「ホンダコネクト」を採用。安全運転支援システムを全グレードに標準装備し、新たに近距離衝突軽減ブレーキなどを追加した。従来モデルと同等の月1万5000台の販売を計画する。 (編集委員・錦織承平)
消費税込みの価格は164万8900―236万2800円。原材料高の価格転嫁を抑えながら、先進機能を追加しており、ノーマルタイプの価格は従来より約5万円高い設定とした。
部品供給不足が落ち着いてきており、納期は注文後2カ月程度としている。
ターゲットは30代の母親層や20、50、60代で登録車から軽に乗り換える層。軽乗用車最大級の室内空間や視点の高さを維持しながら、ステアリングの内側でスピードメーターを見られるようにしてダッシュボードを平らにし、開放的な視野を確保。運転者が車幅や車両の動きを把握しやすくした。
スーパーハイトワゴンは軽市場で最も売れている商品。ダイハツ工業「タント」、スズキ「スペーシア」、日産自動車「ルークス」、三菱自動車「デリカミニ」と各社が商品を投入し、激しく競争している。ホンダの広瀬紀仁商品ブランド部商品企画課チーフは競争環境について「元々は30代の母親層にターゲットを設定していたが、今はあらゆるユーザーが使っており、そこにどう使ってもらうか、どう買ってもらうかという風に変化してきた」と説明する。
ホンダは24年から軽の電気自動車(EV)を投入する計画だが、スーパーハイトワゴン「N―BOX」のEV化は「しっかり検討したい」(高倉記行日本統括部統括部長)と述べるにとどめた。
ホンダの4輪車事業は、部品不足の緩和に伴って車の供給が回復しており、23年度下期(23年10月―24年3月)の国内販売台数ペースは「(目標とする)年間70万台レベルまで引き上げられる」(同)との見通し。新型「N―BOX」を国内販売の安定に向けた柱と位置付けている。
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