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高速スイッチング性能引き出す、ローム開発「GaN半導体向け新技術」の効果

高速スイッチング性能引き出す、ローム開発「GaN半導体向け新技術」の効果

開発品の電源回路構成と面積の比較。(左から)従来のシリコンパワー半導体を搭載した電源回路、GaNパワー半導体と新技術を組み込んだ制御ICを搭載した電源回路(ローム提供)

ローム窒化ガリウム(GaN)パワー半導体の高速スイッチング性能に対応する超高速駆動制御ICを開発した。高速スイッチングに必要な高周波出力を実現するため、制御パルス幅を従来の9ナノ秒(ナノは10億分の1)から業界最高の2ナノ秒まで向上。これによりGaN半導体が従来のシリコン(Si)半導体などより優れた高速スイッチング性能を最大限に引き出せ、駆動周辺部品の小型化にもつながるという。

GaN半導体向け新技術は、2023年後半に100ボルト入力の1チャンネルDC―DCコントローラーICとしてサンプル出荷する予定。ローム製のGaN半導体などと組み合わせ、通信基地局やデータセンター(DC)、産業機器、飛行ロボット(ドローン)への利用を見込む。

(左から)ロームのGaNパワー半導体、新開発のGaNパワー半導体向け制御IC(同社提供)

新技術は制御パルス幅が2ナノ秒と短いのが特徴。0・6―60ボルトのアプリケーションの場合、新技術を搭載したIC一つで高周波領域での高電圧から低電圧への降圧変換が可能なため、従来必要だった中間電圧用の電源ICが不要。開発中のDC―DCコントローラーICと同社製GaN半導体を使用した電源回路で比較した場合、実装面積を一般品比86%削減できる。

GaN半導体は環境負荷を低減する次世代パワー半導体として注目され、今後の普及が見込まれる一方、効率の良い動作を促す制御ICの普及は遅れている。ロームはGaN半導体とGaN向け制御ICの両者を手がけることで、GaN半導体の普及を後押しする。

日刊工業新聞 2023年03月03日

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