ROE10%以上へ、鴻池運輸が投資検証に第三者の目
鴻池運輸は2025年3月期を目標とする3カ年の中期経営計画の中で、売上高3320億円、営業利益160億円、自己資本利益率(ROE)8・0%の目標を掲げる。合わせて31年3月期を目標とする長期ビジョンでは、売上高4500億円、営業利益250億円、ROE10%以上の達成を目指している。
コロナ禍の中で推進した構造改革プランで実践した不採算事業の拠点の再構築や撤退のほか、全社的な効率性の改善、コスト削減などをベースに、新規事業などを通じて収益力を向上する。竹島徹郎専務執行役員は目標達成に向け「資本効率を上げる」と強調する。
そのために経営会議の諮問機関である「投資調査部会」の機能強化を実施しており、新たな投資をする際、「財務やアセット(資産)に強いプロなど第三者の目で入念に検証してもらっている」(竹島専務執行役員)。
その上で、中長期的な成長事業に「空港」「メディカル」「環境・エンジニアリング」「インド事業」の四つを位置付けて、これらの事業の成長を取り込むことで収益力の向上に役立てる。
具体的にはコロナ禍で大きな打撃を受けた手荷物や貨物の塔降載、航空機誘導などを行う空港事業では、注力事業全体の投下資本利益率(ROIC)を大きく低下させる要因になったものの、就航率の回復に加え、航空会社の外部委託の流れもあって今後は増益に貢献すると想定。メディカル事業では、病院内外での医療機器の滅菌代行や病院内物流の請負に優位性を持つことから、新規病院の開拓と同時に医療機器メーカーと連携して病院の課題解決に貢献する。
環境・エンジニアリング事業では、専門知識を持つ工事監督者の育成のほか、次世代エネルギーなど新事業領域の参入に向けた体制を強化。インド事業では先行優位性を生かし、完成車輸送など日系メーカーの事業展開の支援のほか、メディカル事業の展開を進める。
状況に応じて4事業などで設備投資やM&A(合併・買収)を行い、さらなる成長につなげるとしている。