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大阪万博で「空飛ぶクルマ」運航へ、動き出した5陣営の思惑

大阪万博で「空飛ぶクルマ」運航へ、動き出した5陣営の思惑

スカイドライブが発表した新機体「SD-05」(イメージ、スカイドライブ提供)

大阪・関西万博での運航を目指す空飛ぶクルマ(eVTOL)の運営事業者に、ANAホールディングス(HD)など5陣営が決まった。ANA、日本航空(JAL)、丸紅、スカイドライブ(愛知県豊田市)の4陣営が運航事業を、オリックスが駐機場(ポート)事業を担当する。安全面やコストなど商用飛行の課題も多いeVTOLだが、注目度の高い万博を活用し、各社とも事業可能性を探りたい考えだ。

日本国際博覧会協会は万博会場の夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)と関西国際空港(関空)や湾岸エリア、大阪都心部の複数箇所で離着陸のポートを設け、2地点間で運航する構想を描く。国土交通省が万博会場での実用化に向け、柔軟な試験飛行が行えるようガイドラインを変更するなど、規制改革も進む。

航空機と同様、運航事業者それぞれがポートを活用して運航を行う。そのため運航事業者は機体や設備、操縦士などを自前で確保する必要がある。スカイドライブは乗客・操縦士合わせて2人乗りの小型の機体を万博に向けて開発しており、型式証明の取得に加え操縦士や整備士の確保が課題となる。ANAやJAL、丸紅もeVTOLを開発する海外事業者との業務提携を進める。

離発着場についてはオリックスの所有地のほか、自治体の遊休地などを活用するとみられる。オリックスは万博のパビリオンへの出展や協賛はせず、注目度の高いeVTOL事業へ注力することで存在感を高めたい考え。

一部企業は万博のeVTOL運営に向け日本国際博覧会協会と協賛契約を結んだ。運航ルートや運賃など具体的な中身は今後詰める方針だが、万博の特性上、パビリオンと同様に来場者からの利用料は徴収しないか、低額になる可能性がある。

ビジネスモデルの構築には課題も多いが、万博がeVTOLの存在を知らしめる絶好の機会となることは間違いなさそうだ。

日刊工業新聞 2023年02月21日

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