水系塗料の塗布・密着性両立、東レが開発したスゴい「新型PETフィルム」
東レは揮発性有機溶剤(VOC)を含まない水系塗料などに対して、塗布性と密着性を両立させたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを開発したと発表した。フィルム表面に親水成分と疎水成分をナノサイズで分散させた極薄層を形成する技術。塗料の塗布時のはじきや、乾燥後の剝がれといった外観不良の発生をなくすことができる。
2023年度下期に岐阜工場(岐阜県神戸町)で生産を開始する予定で、30年に90億―100億円の売り上げを目指す。
新型フィルムは親水成分と疎水成分を均一に分散させた厚さ1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の極薄層を表面に形成。塗料が親水性によりはじきなくひろがり、疎水性により乾燥時に密着性を高める。全光線透過率などの基本性能は従来製品と同等。既存の2軸延伸によるフィルム製造工程に表面処理を追加するだけで製造できる。
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日刊工業新聞 2022年12月16日