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初年度の平均納付「129万円」、高騰する私大学費にどう向き合う?

「学生の修学上の国私格差があまりにも大きすぎる」(立教大総長)
 高等教育の機会を広げる役割を担い、大学生の7割以上が在籍する私立大学。ただ近年、学費は高騰し、学生個人の負担が過大になっている。経費の1割しか国の支援がない現状に改善の余地はないだろうか。

 日本私立大学連盟がまとめた2016年度の初年度納付金(入学金を含む)は、平均129万円。うち文系は113万円、理工系は約145万円で、施設費などを加えると約130万―180万円かかる。

 現在価値に換算できる総務省の統計によると、12年の年間授業料は約72万5463円。これに対し、今の60歳前後の人が入学した1975年の授業料は15万3000円(現在価値で約28万円)。80年は30万4000円(同約38万円)、90年は46万8320円(同約44万円)だ。

 バブル崩壊後、デフレ経済が続く中で、学費は90年比だけでも1・6倍上がった。仕送りが伸び悩む中で、学生は生活のためアルバイトに追われ、卒業後も定職に就けず、奨学金を返せない人が急増している。

 学費が高騰したのは、70年に創設された「私立大学等経常費補助金」(私学助成)による補助割合が年々減り続けているためだ。経費に対する補助割合は国会の私立学校振興助成法の付帯決議で「速やかに2分の1とする」とされた。だが財政赤字の拡大で、80年の29・5%をピークに減り続け、15年度からは9%台と1割を切った。

 この間、進学率が高まったこともあり、大学側は学生増で収入不足を補った。今は収入の7割が学生納付金頼みだ。少子化で学生獲得が容易でなくなり、私立大の経営は苦しさを増している。

 一方で国立大の収入構造は政府支援が6割で、学生納付金は2割。私大連の吉岡知哉副会長(立教大学総長)は「学生の修学上の国私格差があまりにも大きすぎる」と語る。

 若者には多くの教育の機会が与えられるべきだ。若い夫婦が将来の学費負担を恐れて子どもを産まなくなっては、日本の未来は暗い。私学助成のあり方について改めて議論が必要だ。
日刊工業新聞2017年7月11日「社説」
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
 私立大の経常的経費に対し、国は「私立大学等経常費補助」で支援をしている。しかし補助比率は15年度に9・9%まで落ち込み、ピークの80年代の3割とは段違いに少ない。これに異議を唱えるのは日本私立大学団体連合会の会長を務める早稲田大学の鎌田薫総長だ。学生1人の教育に対する国の資金は、国立大が私立大の13倍なのに対し、「社会へ貢献する度合いに10倍以上の開きがあるとは思えない」と、私大への補助の拡充を訴える。  対して慶応義塾の清家篤前塾長は、「独自理念を貫くために、私立大は公費助成に頼りすぎてはいけない」と別意見だ。国立大が授業料の引き上げをし、「国の支援は法人でなく、学生の奨学金を手厚くするのに回すのがいい」と提案する。  個人的にはむやみやたらりに公費助成というのはどうかと思うが、国立大との統合も見据えた大学改革全体のデザインが必要だとろう。

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