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官民連携で航空インフラを海外展開へ。次は南米か

空港整備計画など調査、民間に経営移譲
官民連携で航空インフラを海外展開へ。次は南米か

新ウランバートル国際空港公式フェイスビックページより

 国と民間が連携し、海外の航空インフラ案件を発掘しようと力を注いでいる。国土交通省が事務局を務める協議会「航空インフラ国際展開協議会」(今井敬会長=新日鉄住金名誉会長)に作業部会を設置。対象国を選定し、空港の整備計画などを調査する。海外では既存ターミナルの改修などに伴い、空港ターミナルの運営を民間に譲渡する案件が増えている。官民連携でこうしたニーズを取り込み、プロジェクトの受注につなげたい考えだ。

 航空インフラ国際展開協議会は、民間企業や団体、政府系支援機関など約80社・団体で構成する。2015年4月に発足し、海外の空港プロジェクト案件の獲得に向けて活動してきた。

 例えば、インドネシアやフィリピン、ベトナムに官民のミッションを派遣。ミャンマーやインドネシアとは政府間協議の場を活用し、セミナーやビジネスマッチングなどを行ってきた。

 現時点でも、日本はいくつかのプロジェクトを受注したり、受注寸前にまで至ったりしている案件がある。モンゴルとは新ウランバートル国際空港の建設に加え、運営にも参画する方向で調整が進む。

 また、ロシアとハバロフスク国際空港の新ターミナル建設、および運営共同事業に関する覚書を交わした。

 航空インフラ需要は、今後も拡大が見込まれる。航空需要の拡大に伴い「滑走路などの容量が足りなくなった」(国土交通省)ことで、既存の空港ターミナルを改修・拡張するニーズが発生。民間の資金や知恵を活用しようと、空港運営事業でコンセッション(公共施設等運営権)を採用し、民間に経営を移譲する案件も出てきている。

 同協議会はこうしたニーズを捉え、空港インフラの海外展開を推進したい考え。ただ、空港運営のノウハウがある企業が数社で「案件発掘が十分に進んでいない」(同)ことなどが課題にあがる。

 こうした状況を打開しようと6月上旬、新しく作業部会を設けた。空港運営会社や商社、コンサルティング会社などが参画。獲得を目指す空港プロジェクトのある対象国を選び、空港整備計画や、日本企業への支援体制などに関して調査する。

 これまであまり実績がない南米や東欧、アフリカなどを想定。調査結果を共有し、具体的な活動に生かす考えだ。
            

(文=村山茂樹)
日刊工業新聞2017年6月16日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
空港はその国の玄関口として、旅行客の印象に残り、インフラとしての注目度も高い。日本は官民連携で相手国のニーズをいち早く捉え、対応できる事業推進体制を整えることがますます重要になる。 (日刊工業新聞第ニ産業部・村山茂樹)

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