川重、日米でボーイング次世代機「777X」の生産準備着々

貨物扉の製造、今秋から米国で生産

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米国に整備していた航空機機体部品の製造ライン
 川崎重工業は米国現地法人のリンカーン工場(ネブラスカ州)で整備していた、米ボーイングの次期大型旅客機「777X」用貨物扉の製造ラインを完成した。月内に試験製造に着手し、今秋から本格的に製造を始める。岐阜工場(岐阜県各務原市)、名古屋第一工場(愛知県弥富市)に続く、航空機関連の主力工場の一つとなる。

 製造ラインは同工場の既存建屋内の約2800平方メートルエリアに整備した。投資額は約15億円。川重として初めて、米国に設置した航空機用部品の製造拠点となる。自社製塗装ロボットのほか、打鋲(びょう)の対象範囲が拡大したオートリベッター(自動打鋲機)など最新鋭の設備を導入。高品質で高効率な生産体制を構築した。

 今後は777Xの前部胴体や中部胴体の製造を担う名古屋第一工場内の新工場と同様に、ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)などのインフラ整備を計画している。

日刊工業新聞2017年5月2日



岐阜に胴体用の新工場


名古屋第一工場内の777向け胴体の製造ライン

 川崎重工業は今夏をめどに、岐阜工場(岐阜県各務原市)内に、米ボーイングの次世代大型旅客機「777X」向け胴体部品の新工場を建設する。777Xの前部・中部胴体向けスキンパネル(外板)を生産する。777X向けは岐阜工場と、2月完成の名古屋第一工場(愛知県弥富市)内の新工場で分担する。投資額は名古屋の新設分と合わせて約250億円。岐阜の新設で、同社の777X向け設備投資は一巡する。

 川崎重工業は今夏までに777X向け胴体生産を始める。これに合わせ生産拠点を整備してきた。岐阜工場内に機械加工工場とサブ組立工場の2棟を新設する。機械加工工場では切削加工機を導入し、アルミニウム合金製のフレームなどを製造する。サブ組立工場では、胴体パネルにストリンガー(補強材)を取り付けるための穴あけ加工などを手がける。

 岐阜工場では現行機「777」向けスキンパネルを生産している。777X向けでも、胴体パネルの曲げ加工や表面処理、塗装作業のほか、パネルにストリンガーやシアタイ(胴体部品)の取り付けに、既存設備を活用する。

 777X向け胴体生産は、岐阜工場で胴体パネルとフレーム加工を担当。名古屋第一工場内の新工場で、自社製ロボットや大型の数値制御(NC)自動打鋲機(オートリベッター)を使って最終組み立てを行う。

 米現地法人のリンカーン工場(ネブラスカ州)では、777X向け貨物扉を生産する。既設建屋内の約2800平方メートルのエリアを整備。オートリベッターや塗装ロボットを導入し、貨物扉を効率的に組み立てる。

日刊工業新聞2017年2月9日


 

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長塚崇寛
編集局ニュースセンター
デスク

 民間航空機向け機体部品を手がける川崎重工業。メーン顧客の米ボーイングは欧エアバスと激しい受注競争を繰り広げ、コストダウン要求は年々厳しさを増している。単なるプライスダウンはできない。川重には乾いたぞうきんを絞るような生産改善を進めてきた自負がある。さらにボーイングと一緒になった取り組みが不可欠になる。例えば検査工程。一度も不具合が発生していない工程での検査を、簡便化するといった取り組みだ。  胴体などを手がける名古屋第一工場。6月の製造開始に向け、生産設備の設置作業を始めた。新工場の完成は航空機部門に留まらず、川重グループ全体への波及効果が期待できる。新工場はIoTモノのインターネットなどを活用したスマート工場のとっかかり。自動で穿孔(せんこう)位置を認識する自社製ロボット、画像センシング技術や制御技術を駆使した新規開発設備を導入。IoTに必要な通信インフラも整備する。

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