圧巻!!飛行機好きなら必見、模型の域を超えたボーイング777型機
この写真、なんだか分かりますか?
じつははこれ、「熱狂的航空ファン」こと ルカ・ラコーニ-スチュワートさんが17歳の時から7年間、書類フォルダーを切り抜いて作り続けた、エア・インディアのボーイング777型機の精巧なレプリカなんです。
12月17日は、ライト兄弟が動力飛行の初飛行に成功した(1903年)ことにちなんだ「飛行機の日」。そこで今回は、飛行機愛にあふれるルカさんの素敵なプロジェクトを、写真たっぷりにご紹介します。
「飛行機の外観とエンジンが大好き」と語るルカさん。このレプリカでは、ボルトや油圧管、蝶番(ちょうつがい)など、細部に至るまで見事に再現されています。たとえば、座席背面に差し込まれたエンターテインメントシステム、機内食用のカートはもちろん、ファーストクラス利用者を含め大半の乗客は見ることのない、客室乗務員用の隠れた「休憩スペース」などのアメニティ設備までも完備されています。
エア・インディアのボーイング777型機は、世界一パワフルなジェットエンジン「GE90-115B」を搭載しています。GEアビエーションが設計したこのエンジンは、特殊な炭素繊維複合材製ファンブレードをジェットエンジンとして初めて採用。この軽量素材のおかげで、エンジンの直径は135インチ(約3.40m、「GE90-94B」)まで拡大され、よりパワフルなものとなりました。「このブレードが、とにかく美しいですよね」と絶賛するルカさん。「本物のブレードがMoMA(ニューヨーク近代美術館)のデザインコレクションとして展示されていて、そこでブレードのデザインを研究しました」
「誰かが偶然ネットに投稿したボーイング777-200ER型機の訓練マニュアルを入手したんです。これが、いま設計中の翼の部分なんかにものすごく役立っています」 とルカさん。
2008年にインターネットでボーイング777型機を見て心を奪われた、当時、建築を学ぶ高校生だったルカさん。「とにかく素晴らしいプロポーションだったので」作ってみようと決心したものの「設計図が入手できなかった」。偶然ネットで見つけた写真と整備用マニュアルをもとに、この航空機について学ぶところから始めた。
すべての機能を再現したいと考えたルカさんは、実際の航空機の仕組みから学ばなければなりませんでした。「エンジンの逆スラスト装置にはてこずりましたよ。どんなふうに機能するのか知りませんでしたから。YouTubeで動画を見て研究したり、エンジン背面の写真も入手しました。デザイン上ではきちんと見えたので、あとはちゃんとできあがるかどうか、祈るだけでした」。
厚紙でできた機体はどれも、コンピューターで作成した設計図をもとにしています。ルカさんはこれを書類フォルダーに印刷し、プロ用のデザインナイフで切り取って、ピンセットでつまんで糊付けします。簡単そうに聞こえますが、エンジンだけでも設計に1カ月、組み立てに4カ月もかかる作業です。
結果は大成功でした。ボーイング777型機のパイロットキャプテン、リチャード・ソウデン氏は、このレプリカを見て次のように話しています。「このGE90エンジンの模型は驚くほど精巧にできています。エンジンの制作過程を写した写真や、厚紙だけで作られたエンジンの詳細を眺めるのは本当に興味深かったです」(写真は、ラコーニ-スチュワートさんのFlickerのページでご覧いただけます)
ルカさんはエンジニアリングを学んだことはない、ということを考えると、そのすごさには驚かされるばかりです。ヴァッサー大学に2年間通っていたルカさんは、現在は休学中。「頭を切り替えて、自分がやりたいことを見つけることにしたんです。家族がとても協力的で助かっていますよ」と、サンフランシスコの両親の家でGE Reportsの取材に語ってくれました。
GE Reports(以下、GER):ボーイング777型機のどこに惹かれたんですか? 他の機体を作ろうと考えたことはあったんでしょうか?
ルカ・ラコーニ-スチュワートさん(以下、ルカさん):以前からずっとボーイング777型機が好きで、特に777-300ER型機の外観の大ファンなんです。圧倒的なパワフルさと洗練された滑らかな形状、そのバランスの美しさに魅力を感じます。そんなときにエア・インディアのとても詳細な座席表をネットで偶然見つけたんです。これで、内装の設計が楽になりました。単に思いついたアイデアを実行に移しただけで、他の機体を作ろうなんて考えたことはありませんよ。
GER:この模型はとても精巧ですよね。実物を見た人がほとんどいない客室乗務員用の仮眠室まで作り込まれています。リサーチはどのようにして進めたのでしょうか?
ルカさん:ありがたいことに、今はネットに写真や動画があふれていて、想像力に頼らなければならない部分はほとんどありませんでした。数年かけて集めた数百枚の画像を使って、自分のプランを練ってきたんです。あとは、誰かが偶然ネットに投稿したボーイング777-200ER型機の訓練マニュアル。これが、いま設計している翼の部分にものすごく役立っていますね。
GER:2つの「GE90-115B」エンジンの模型はまるで実物そのものです。エンジンについてはどのようにして学んだんですか?エンジニアと話したりしたのですか?
ルカさん:あらゆる角度からの写真など、広範囲にわたってリサーチしました。あとは、ボーイング社のウェブサイトに掲載された機体の外観寸法を活用して、エンジンサイズの概要を把握しました。エンジニアとは話す機会はありませんでしたが、高校時代の友達(建築学のクラスで一緒だった)が今GEで働いているので、エンジンの設計や製造にまつわる課題や、「GE9X(GEアビエーションがボーイングの次世代大型機777X向けに開発した世界最大のジェットエンジン)」のような、これまでにない最先端のエンジンについて話を聞きました。
GER:制作作業は終わりに近づいてますか?
ルカさん:いえ、それがなかなか計画通りに進まなくて。昨年はシンガポール航空の広告制作にかかりっきりで、最近ようやく翼の設計に戻ったんです。翼は組み立てが残っている最後の重要パートです。現在はスラット(主翼前縁にある小翼)の制作に取り組んでいますが(YouTubeで進捗をアップデート中)、近いうちにフラップ(主翼後縁にある小翼)の制作に移る予定です。完成日ははっきりとは言えませんが、完成には少なくとも年内いっぱいかかる見込みです。一番複雑なパートが最後に残っていますからね。
GER:今後の予定は?
ルカさん:これが僕の作る最後の機体になるとは思えません。でも、似たようなプロジェクトを急いで始めるつもりは、少なくとも趣味としてはありません。他の分野のデザインに関して学んでみたり、思い切って模型制作以外の世界に飛び込んで、少し視野を広げるのもいいかなと。どんな将来が待ち受けているか、楽しみです!
じつははこれ、「熱狂的航空ファン」こと ルカ・ラコーニ-スチュワートさんが17歳の時から7年間、書類フォルダーを切り抜いて作り続けた、エア・インディアのボーイング777型機の精巧なレプリカなんです。
12月17日は、ライト兄弟が動力飛行の初飛行に成功した(1903年)ことにちなんだ「飛行機の日」。そこで今回は、飛行機愛にあふれるルカさんの素敵なプロジェクトを、写真たっぷりにご紹介します。
「飛行機の外観とエンジンが大好き」と語るルカさん。このレプリカでは、ボルトや油圧管、蝶番(ちょうつがい)など、細部に至るまで見事に再現されています。たとえば、座席背面に差し込まれたエンターテインメントシステム、機内食用のカートはもちろん、ファーストクラス利用者を含め大半の乗客は見ることのない、客室乗務員用の隠れた「休憩スペース」などのアメニティ設備までも完備されています。
エア・インディアのボーイング777型機は、世界一パワフルなジェットエンジン「GE90-115B」を搭載しています。GEアビエーションが設計したこのエンジンは、特殊な炭素繊維複合材製ファンブレードをジェットエンジンとして初めて採用。この軽量素材のおかげで、エンジンの直径は135インチ(約3.40m、「GE90-94B」)まで拡大され、よりパワフルなものとなりました。「このブレードが、とにかく美しいですよね」と絶賛するルカさん。「本物のブレードがMoMA(ニューヨーク近代美術館)のデザインコレクションとして展示されていて、そこでブレードのデザインを研究しました」
「誰かが偶然ネットに投稿したボーイング777-200ER型機の訓練マニュアルを入手したんです。これが、いま設計中の翼の部分なんかにものすごく役立っています」 とルカさん。
2008年にインターネットでボーイング777型機を見て心を奪われた、当時、建築を学ぶ高校生だったルカさん。「とにかく素晴らしいプロポーションだったので」作ってみようと決心したものの「設計図が入手できなかった」。偶然ネットで見つけた写真と整備用マニュアルをもとに、この航空機について学ぶところから始めた。
すべての機能を再現したいと考えたルカさんは、実際の航空機の仕組みから学ばなければなりませんでした。「エンジンの逆スラスト装置にはてこずりましたよ。どんなふうに機能するのか知りませんでしたから。YouTubeで動画を見て研究したり、エンジン背面の写真も入手しました。デザイン上ではきちんと見えたので、あとはちゃんとできあがるかどうか、祈るだけでした」。
厚紙でできた機体はどれも、コンピューターで作成した設計図をもとにしています。ルカさんはこれを書類フォルダーに印刷し、プロ用のデザインナイフで切り取って、ピンセットでつまんで糊付けします。簡単そうに聞こえますが、エンジンだけでも設計に1カ月、組み立てに4カ月もかかる作業です。
結果は大成功でした。ボーイング777型機のパイロットキャプテン、リチャード・ソウデン氏は、このレプリカを見て次のように話しています。「このGE90エンジンの模型は驚くほど精巧にできています。エンジンの制作過程を写した写真や、厚紙だけで作られたエンジンの詳細を眺めるのは本当に興味深かったです」(写真は、ラコーニ-スチュワートさんのFlickerのページでご覧いただけます)
ルカさんはエンジニアリングを学んだことはない、ということを考えると、そのすごさには驚かされるばかりです。ヴァッサー大学に2年間通っていたルカさんは、現在は休学中。「頭を切り替えて、自分がやりたいことを見つけることにしたんです。家族がとても協力的で助かっていますよ」と、サンフランシスコの両親の家でGE Reportsの取材に語ってくれました。
GE Reports(以下、GER):ボーイング777型機のどこに惹かれたんですか? 他の機体を作ろうと考えたことはあったんでしょうか?
ルカ・ラコーニ-スチュワートさん(以下、ルカさん):以前からずっとボーイング777型機が好きで、特に777-300ER型機の外観の大ファンなんです。圧倒的なパワフルさと洗練された滑らかな形状、そのバランスの美しさに魅力を感じます。そんなときにエア・インディアのとても詳細な座席表をネットで偶然見つけたんです。これで、内装の設計が楽になりました。単に思いついたアイデアを実行に移しただけで、他の機体を作ろうなんて考えたことはありませんよ。
GER:この模型はとても精巧ですよね。実物を見た人がほとんどいない客室乗務員用の仮眠室まで作り込まれています。リサーチはどのようにして進めたのでしょうか?
ルカさん:ありがたいことに、今はネットに写真や動画があふれていて、想像力に頼らなければならない部分はほとんどありませんでした。数年かけて集めた数百枚の画像を使って、自分のプランを練ってきたんです。あとは、誰かが偶然ネットに投稿したボーイング777-200ER型機の訓練マニュアル。これが、いま設計している翼の部分にものすごく役立っていますね。
GER:2つの「GE90-115B」エンジンの模型はまるで実物そのものです。エンジンについてはどのようにして学んだんですか?エンジニアと話したりしたのですか?
ルカさん:あらゆる角度からの写真など、広範囲にわたってリサーチしました。あとは、ボーイング社のウェブサイトに掲載された機体の外観寸法を活用して、エンジンサイズの概要を把握しました。エンジニアとは話す機会はありませんでしたが、高校時代の友達(建築学のクラスで一緒だった)が今GEで働いているので、エンジンの設計や製造にまつわる課題や、「GE9X(GEアビエーションがボーイングの次世代大型機777X向けに開発した世界最大のジェットエンジン)」のような、これまでにない最先端のエンジンについて話を聞きました。
GER:制作作業は終わりに近づいてますか?
ルカさん:いえ、それがなかなか計画通りに進まなくて。昨年はシンガポール航空の広告制作にかかりっきりで、最近ようやく翼の設計に戻ったんです。翼は組み立てが残っている最後の重要パートです。現在はスラット(主翼前縁にある小翼)の制作に取り組んでいますが(YouTubeで進捗をアップデート中)、近いうちにフラップ(主翼後縁にある小翼)の制作に移る予定です。完成日ははっきりとは言えませんが、完成には少なくとも年内いっぱいかかる見込みです。一番複雑なパートが最後に残っていますからね。
GER:今後の予定は?
ルカさん:これが僕の作る最後の機体になるとは思えません。でも、似たようなプロジェクトを急いで始めるつもりは、少なくとも趣味としてはありません。他の分野のデザインに関して学んでみたり、思い切って模型制作以外の世界に飛び込んで、少し視野を広げるのもいいかなと。どんな将来が待ち受けているか、楽しみです!