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世界最大の民間航空機エンジンGE9X、最初の地上試験に成功

2017年前半にも認定試験を開始
 GEアビエーションは、一回目となる、GE9Xエンジンの地上試験に成功した。GE9Xは世界最大の民間航空機エンジンで、次世代旅客機のボーイング777Xに搭載される予定だ。

 「今回の結果は、私たちの期待に応えるもので、大変満足している」と話すのは、GEアビエーションでGE9Xプログラムのゼネラル・マネージャーを務めるテッド・イングリング氏。

 「ピーブルズにある施設で行われた地上試験で、GE9Xのテスト機は申し分ない性能を証明した。それだけでなく、エンジニアチームは設計を再確認するのに必要な1,200ものデータを確保することができた。次の段階の試験を実施するのが楽しみ」とイングリング氏。

 今回は計167時間に及ぶ試験を行い、213回転、89回の起動を確認した。試験によって、GE9Xの空中における特性や耐熱性をはじめ、機器の健全性やパフォーマンス、操作性などについてもデータを得ることができた。次の段階である着氷の先行試験は、2016年内に実施される見通しだ。


 試験運転(FETT)は、エンジンの完成度を見極める最終段階にある。GE9XのFETTを開始したのは2016年の3月下旬。GE9Xの設計を最終化してからわずか半年という、エンジンの開発過程においてかなり早い段階で実施した。このタイミングで実施できたことで、FETTで得られた知見をエンジン認定の前にあますことなく盛り込むことができる。

 次の段階の試験では、GE9X用のデモ機として、燃焼器やタービンブレードにセラミックマトリックス複合材料(CMC)を採用したGEnxが使われる。

 CMC製の素材は、金属合金に比べると重さは3分の1という軽量でありながら、より優れた耐熱性を持っている。そのため、エンジン全体の重量を削減し、燃料効率やエンジン性能、耐久性の改善を実現している。

 2017年前半には、GE9Xプログラムの認定試験を開始する予定で、空中飛行試験場で飛行試験も実施する。2018年には、エンジン認定を取得する見込みだ。


 すでに約700基を受注しているGE9Xの推力は10万ポンド級、フロントファンの直径は世界最大の134インチ(約3.4m)。複合材料製のファンケースと、第4世代の炭素繊維複合材料からなる、16枚のファンブレードを備えている。

 そのほか、圧縮比率が27:1の11段階高圧コンプレッサーや、高効率ながら低い排出量を実現する第3世代のTAPS III燃焼器、CMCが採用された燃焼器とタービンなども重要な特徴だ。

 GEアビエーションのテクノロジーと先端材料を搭載したGE9Xには、低圧タービンモジュールをはじめ、インレット・ギアボックスやトランスファー・ギアボックス、そして、アクセサリー・ギアボックスからなる、アクセサリー・ドライブトレイン・キットも搭載。GEアビエーションの事業ユニットであるアビオ・アエロ製のシャフトとその関連付属品を連結している。

 GE9Xプログラムには、IHI、サフラン・エアクラフト・エンジン社、サフラン・エアロ・ブースター社、MTUエアロ・エンジン社が参画している。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
IHIの「GE9X」の参画シェアは10・5%。現行エンジン「GE90」の約9%から拡大した。IHIは低圧タービン部品などを担当する。IHIはGEと90年代から民間航空機エンジンの共同開発を実施。GE90のほか、「ボーイング787」など向け「GEnx」、ビジネスジェット向け「GEパスポート20」といったGEのエンジンプログラムに参画している。他社にはできないオンリーワン技術を保有している。

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