【三菱重工業 劇場型改革の真価#番外編】売上高5兆円目標を2年先送り

MRJ、「全社の今後を左右する重要な事業」(宮永社長)

  • 0
  • 0
宮永社長
 三菱重工業の宮永俊一社長は9日、2020年3月期の売上高を、18年3月期見込み比2割増となる5兆円にする計画を明らかにした。今期を最終年度とする中期経営計画で達成する目標だったが、2年先送りする。

 火力発電事業を担う三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の事業拡大やアフターサービスの伸長などを成長のけん引役に位置付ける。宮永社長は「組織・制度の補強をさらに進め、長期的な成長ステージに(軸足を)移す」と強調した。

 MHPSの火力発電向けガスタービンなどを抱えるエネルギー・環境ドメインは、総売上高の約4割を占める稼ぎ頭。現在は、大型案件の受注に期ズレが発生するなど苦戦が続くが、19年度以降の回復を予想する。自動車用過給器やフォークリフトが堅調に推移することも増収要素となる。

 一方、宮永社長は「5兆円をより確実とするにはM&A(合併・買収)も必要」と判断。自律成長と外部資源活用の両輪で成長軌道を描く考えだ。

造船・重機5社、今期は全社営業増益へ


 造船・重機5社の2018年3月期連結決算業績予想が9日出そろい、全社が営業増益を見込む。三菱重工業は火力発電設備事業で収益が一部回復するほか、商船や開発中の小型旅客機「MRJ」などで損失幅の改善を見通す。IHIは海洋構造物やプロセスプラントといった不採算案件の影響が大幅に解消する。大型案件の採算悪化に苦しんだ各社は、組織再編などの構造改革を推進。再び成長軌道に乗せられるか。今期はその分水嶺となりそうだ。

 三菱重工は18年3月期の営業利益を、前期比52・8%増の2300億円に設定した。米ボーイングの大型機減産の影響を受ける航空機の機体部品事業やMRJについて、宮永俊一社長は「全社の今後を左右する重要な事業」と認識。生産性向上やエンジニアの技術力向上などで、早期の収益改善につなげる。

 IHIは前期に営業赤字となった資源・エネルギー・環境と社会基盤・海洋の2セグメントで黒字化を予想する。

 満岡次郎社長は「18年度目標の営業利益率7%は捨てておらず、達成に必要な施策を展開する」と強調。リスクマネジメントを強化し、大型案件の遂行体制を強化する。

 住友重機械工業は低迷していた建設機械事業の回復などを受け、営業利益は前期比5・3%増の510億円を想定。「売上高のアップ分と、各製品群の利益率向上に注力する」(鈴木英夫常務執行役員)ことで目標達成につなげる。

 川崎重工業や三井造船の営業利益は、前期比で2ケタ増を予想する。川重は前期に多額の損失を計上した、船舶海洋部門の回復が大きく貢献する。また、三井造船は海洋開発向けチャーター(傭船)サービスなどが追い風となる。
                   

日刊工業新聞2017年5月10日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

三菱重工の構造改革の進捗と収益環境は依然楽観視できない状況が続く。5兆円を2年先延ばしは、宮永社長があと2年続投するというメッセージではないか。

関連する記事はこちら

特集