鉄道駅は再配達削減の切り札なるか。宅配ボックスの設置拡大

荷物を取りに行く「一手間」を、生活に根付かせる必要も

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京急川崎駅にPUDOを設置
 物流業界の深刻な人手不足を受け、鉄道の駅で宅配ボックスの設置が拡大している。ヤマトホールディングス(HD)と仏ネオポスト(パリ)が設立した合弁会社、パックシティジャパン(東京都千代田区)のオープン型宅配ボックス「PUDO」を中心に、JRや私鉄の各駅で設置が増えている。宅配ボックスは受け入れた施設の事業者側は設置料が収入源となり、宅配事業者にとっては煩雑な再配達の削減につながる。双方にメリットがあり、今後も設置の動きが広がりそうだ。

 パックシティジャパンのPUDOは、ヤマトHD傘下のヤマト運輸以外にも、複数の物流事業者が利用できるオープン型の宅配ボックス。発送業者から送られる4ケタのパスワードを二つ入力し、デジタル操作画面に署名すると荷物が取り出せる。

 ヤマトは基幹システムのデータを分析し、再配達が多い地域を割り出しており、これをもとに設置場所を選定。現在、駅やスーパーマーケットなどを中心として、200カ所に設置している。

 日本郵便は宅配ボックス「はこぽす」を展開しており、現在、駅やファミリーマートなどのコンビニエンスストアなどの87カ所に設置している。

 はこぽすは「ゆうパック」のほか、楽天など複数の通信販売事業者と連携。電子商取引(EC)サイト「楽天市場」で購入した商品にも対応する。日本郵便の高橋亨会長は「ライフスタイルの多様化に合わせ、さまざまな受け取りのニーズに対応し、夜間の再配達の割合を減らしたい」と話す。

 宅配ボックスを導入する鉄道事業者は、設置料収入を得られるだけでなく、駅の機能拡大や利便性を向上できる強みを生かし、駅を基盤に乗降客の生活により密着したサービスが可能になる。

 JR東日本はPUDOとはこぽすの両方を、東京、神奈川、千葉、埼玉、静岡の各都県に展開。池袋駅(東京都豊島区)や大井町駅(同品川区)など需要が見込める駅を中心に、はこぽすを32駅、PUDOを25駅に設置している。

 私鉄各社も宅配ボックスの設置を進める。京浜急行電鉄はPUDOを、金沢文庫駅(横浜市金沢区)など8駅に設置。ヤマトから再配達が多い地域の情報をもらい「駅の乗降人数とは関係なく設置」(京浜急行電鉄)している。急行が停車しない六浦駅(横浜市金沢区)など、規模の小さな駅にも設置しているのが特徴だ。

 西武鉄道もグループ会社で設置している駅も含めて、練馬駅(東京都練馬区)など10駅に導入。「単身世帯の多い駅」(西武鉄道)に設置する戦略だ。

 生活や働き方の多様化で世帯の在宅時間がばらばらになり、荷物を配達しても不在が多く再配達が増加。これが宅配事業者の足かせとなる中、宅配ボックスはその救世主として期待が高まっている。
(文=高屋優理)

日刊工業新聞2017年4月14日

COMMENT

高屋優理
編集局第二産業部
記者

インフラとして定着するには、宅配ボックスの普及はもちろん、駅やコンビニまで荷物を取りに行く「一手間」を、生活に根付かせる必要もありそうだ。

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