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絶賛工事中の東京・渋谷、再開発の進捗状況は?

今月、複合施設がオープン。代官山との一体化プロジェクトも動き出す
絶賛工事中の東京・渋谷、再開発の進捗状況は?

「渋谷代官山Rプロジェクト=イメージ」

 東京急行電鉄は渋谷駅(東京都渋谷区)の北側で開発している複合施設「渋谷キャスト」を、4月28日に開業する。また、東急東横線の旧線路跡地に保育所やホテル、オフィスなどで構成する2棟のビルを開発する「渋谷代官山Rプロジェクト」を着工した。同プロジェクトのビルは2018年秋に開業する計画。東急は渋谷駅周辺で七つの再開発プロジェクトを進める。2020年までにほとんどが完了し、回遊性や利便性を高める。

 渋谷キャストはオフィスや賃貸住宅、商業店舗などが入る複合施設。渋谷と原宿を結び、流行の発信地となりつつある宮下町エリアにある。このため、利用者が複数でスペースを共有するシェアオフィスを設けるなど、クリエイターが活動する拠点として整備する。

 渋谷代官山Rプロジェクトは、渋谷川沿い遊歩道の代官山側に位置し、東横線の地下化によって創出されたトンネル上部の旧線路跡地で開発。

日刊工業新聞2017年3月31日



日本の買収王「強盗慶太」が挑んだ街づくり


五島慶太

「西の小林、東の五島」。東京急行電鉄を中核とする東急グループを作り上げたのが五島慶太。阪急電鉄を率いた小林一三を西の横綱に例えれば、東の横綱が五島。時として手段を選ばない大胆な手法で次々に買収を仕掛け、鉄道大国を築いた。強力なリーダーシップを発揮した「機関車型経営者」と言える。

 五島は「強盗慶太」との異名を持つ。「白昼札片を切って堂々と強盗を働く」と豪語していた通り、買収した企業は100社を超える。強引な手法とは裏腹に「知恵」に長(た)けた経営者でもある。

 一つが長期的視野に立った「まちづくり」をビジネスに持ち込んだこと。小林に倣い、東急電鉄沿線に百貨店や娯楽施設、大学などを誘致、東急沿線の付加価値を高めた。渋谷には東急百貨店を開業したほか、所有していた日吉駅前のおよそ7万2000坪の土地を無償で慶応大に寄付、日吉キャンパス誘致に成功した。学園都市というイメージを高めただけでなく、通学客という固定客を自ら作り出した功績は大きい。

 もうひとつが、わが国で初めて予算に基づく企業経営を実現した点だ。「予算即決主義」と呼ばれ、各部課に収支の見通しを出させ、予算案を作り上げた。当時としては画期的な経営手法だった。

 「強盗慶太」という恐ろしい異名だが、意外にも本人は気に入っていたそうだ。もっともニックネームで呼ばれることは、政治家や財界人にとって一流の証(あかし)である。
(敬称略)

日刊工業新聞2015年09月11日

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
長年、東急沿線に住む一人として東急に対するシンパシーがあるのと同時に歯がゆさもある。最近は相互乗り入れも増え、かつてに比べ「TOKYU」のブランドも毀損したように感じる。彼なら今の渋谷再開発でどのような手腕を発揮しただろうか。再開発で美しくなるのだろうが、カオスの雰囲気がなくなるのもさみしい。

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