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ドライバー不足加速…改正法で効率化、「物流の2024年問題」の今

ドライバー不足加速…改正法で効率化、「物流の2024年問題」の今

今後、物流業界の正常化と輸送力維持の対策強化が期待される(イメージ)

荷主・消費者も行動変容必要

2024年はトラック輸送を中心とする日本の物流のあり方を根本的に見直す転換点となった。物流現場はドライバーの長時間労働や低賃金に依存し、荷主や元請けが立場の弱い運送業者に無理を押しつけることで成り立っていた。ただドライバーの高齢化が進んでおり、ベテランが引退すれば人手不足は一気に深刻になる。労働環境の改善、正常化で若い人に魅力ある仕事に変える必要がある。

働き方改革で4月からドライバーの年間の残業時間が960時間に制限された。トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均と比べ約2割多い半面、所得水準は低く、この改善が狙いだ。国内貨物のうちトラック輸送はトンベースで9割以上、輸送距離を掛け合わせたトンキロベースでも6割弱を占めており、トラック輸送なしで日本の物流は成り立たない。もちろんドライバーの労働時間が減ると走行距離も減り、物流に支障が出る。いわゆる2024年問題だ。政府は「何も対策を講じないと30年に34%の輸送力が不足する」と試算、23年に「物流革新に向けた政策パッケージ」と「物流革新緊急パッケージ」を策定した。これらに実効性を持たせる改正物流効率化法が4月の国会で成立、25年4月から施行され、物流業界の正常化と輸送力維持の対策が強化される。

ポイントは省人化機器の導入補助や中期的なモーダルシフト推進などの「物流の効率化」、宅配の再配達率の減少などの「荷主・消費者の行動変容」、そして主要荷主に対する物流担当役員の配置や悪質な荷主・元請けを是正する「商慣行の見直し」だ。国土交通省はこれまでにトラックGメンを大幅に拡充し是正を強化、「荷待ち」と「荷役」時間の削減などで一定の成果を上げている。また政府は24年度中に宅配の再配達率を12%から6%へ半減を目指しているが、10月の調査では10・2%と半年で0・2ポイントしか改善されていない。消費者への啓蒙も大きな課題だ。

日刊工業新聞 2024年12月19日

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